コメディ・ライト小説(新)

Re: 俺の恋敵は憎たらしい式神だった(新章開始) ( No.153 )
日時: 2020/09/15 13:37
名前: 美奈 (ID: AwgGnLCM)

【受賞御礼の番外編】

「っしゃぁぁ!」

『どしたの京汰くんテンション高いじゃん』

「俺達ついに金賞だって」

『...え?』

「だぁかぁらぁ~、何年もの月日を経て、この作品が金賞取ったの!」

『え?今さら?おそっ!』

「おい、それ以上暴言吐いたら俺ら作者に消されるぞ」

『ひぃぃっ。京汰以外にも消されるリスクあるなんて。前言撤回』

「まぁそんなわけで、お祝いってかご褒美だよーん」

『こんな昼間から?!』

「そ!」

と言って俺が取り出したのは、静岡県名産のう○ぎパイ。バターの香りが良いし、あまじょっぱくてうまいんだこれが。

『え、ねぇそれ今食べちゃダメだよ』

「ええいいじゃんか!せっかくのご褒美だし、近所のおばさんが厚意で一箱くれたんだからさぁ」

『めっ!!!』

悠馬は突然語気を荒げて、俺の手からパイを奪い取った。はぁ?なんで?
すると悠馬は、パイのパッケージの文言を指差して、ほら!と見せてきた。いや近いって。距離感バカかお前は。ソーシャルディスタンスって言葉知ってる?式神でも適用されるの知ってる?悠馬の鼻息感じるこの状況、密って言うの知ってる?

『ちゃんと見て!"夜のお菓子"って書いてあるじゃん!!』

「律儀すぎだろ...そこまで見ねぇよ普通...」

確かにちゃんと書いてある。
なんでちゃんと見ないの?!と悠馬はプリプリ怒る。お前きっと不満があったらすぐお客様相談センターに電話かけるタイプだよな。俺嫌い。

『製造元が"夜のお菓子"ってわざわざ言うんだから、夜の方がオススメなんでしょ?だから今はダメだよ』

「じゃあ、夜の方が良い理由は?ほれ悠馬、言ってみ」

悠馬にとってその質問は想定外だったようで。

『よ、夜の方がうまみ成分が増える!』

「朝日が昇ったら減るんかいな」

ま、稀に見るナイスツッコミ...と悠馬は余計な一言を挟みつつ、なおもアイデアを捻り出す。

『うーん...あ!夜食べた方がテンション上がる!ハイになる!』

「それさ、使用禁止の犯罪系の物質みたいじゃん」

『え...じゃあ、じゃあなんで夜?!』

パッケージをよく見ると、"夜の調味料ガーリック"の文字。
確かに気を遣わずにニンニク食べれるのは夜だね。...ってほんとにそゆこと?って思ったけど、まぁいい。うまいもんを食すのに理由はいらない。

「まぁ関係ねぇじゃーん!」

そう言って俺は悠馬からパイを取り返した。待って待って!と慌てる式神を無視してサクッと一口。やっぱうんめぇ!

・・・・・・・・・
僕は頭を抱えた。
ったく人間ってやつは、どうしてこうも次々と掟を破るのか。もはや掟破りが趣味なのか?
人間どもよ。
エデンの園でアダムとイブが犯した原罪を忘れたのか。
エピメテウスがパンドラの箱を開けた罪を、鶴の恩返しで爺と婆が襖を開けた罪を、浦島太郎が玉手箱を開けた罪を、京汰よ。忘れたのか。
"夜のお菓子"を昼に食べる。それは立派な掟破りだ。原罪と同じ大罪なのだよ。だから、罰が与えられなければ...。

『あぁ...夜食べなきゃダメなのに...今に天罰下るよ』

「真面目にも程があるわ...いつ食べてもいいんだよんなもん」

あぁ、愚かな人間よ。
と諦めた直後、京汰は言った。

「世界のどっかは夜なんだから」

雷に打たれたような衝撃。
きょ、京汰よ。君は愚かな人間ではなかったのか...!やはり才能ある陰陽師の末裔だけあるのか...!

『京汰くん』

「なに?」

『君天才』

「え?今さら?おそっ!」

...見事なブーメラン。
気づけば、京汰はあっという間に1つ食べ終えて、箱に手を伸ばしていた。

「あ!え?!なんで2袋目うまく開かないの?!」

...神様。ひょっとしてそれは天罰?



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※う○ぎパイが"夜のお菓子"なのは、家族団らんの夜のお供に食べてほしいという2代目社長の素敵な想いが由来です。決して、悠馬や京汰のような低レベルの発想ではないことをきちんと記しておきますね。

最近、久々にう○ぎパイ食べまして。"夜のお菓子"ってフレーズ、面白いですよね。なんか脈絡のない話になりましたが、笑っていただければ幸いです。