コメディ・ライト小説(新)
- Re: 俺の恋敵は憎たらしい式神だった【大事なお知らせあり!】 ( No.178 )
- 日時: 2021/01/02 18:17
- 名前: 美奈 (ID: OSKsdtHY)
明けましておめでとうございます!
美奈です。昨年も多くの方に作品を読んでいただき、大変感謝しております(*´ω`*)
今年は『藍色のrequiem』を完結させ(早くしなさい)、『crazy=justice』を進め(早くしなさい)、『俺の恋敵は憎たらしい式神だった』のSeason2を始動します(早くしなさい)。
まずは新年のご挨拶も兼ねて、新年番外編だけ先にお送りしますね。
今年こそは、皆様にとってより良い1年となりますように。
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カーテンから差し込む光に誘われるように、自然と目が覚めた。
「悠馬おはよ...って、あれ?」
俺が目覚める時には必ずベッド脇に控えている彼が、今日はいない。
も、もしかして、ついにあいつ消えた?!
消えたのなら嬉しい。折に触れて消してやりたいと思ってた奴が消えてくれたのなら。
でも同時に、唯一の同志を失ったのかもしれないというどうしようもない焦りに襲われる。
おいおい、俺の気持ちはどっちなんだ。
『きっと絶対後者だよね!』
...いたわ。
俺の思考をいつの間にか読み取って、都合の良い解釈しかしない式神が。
「け、今朝はいないってどういうことだよ」
げ。なんか束縛強めの彼氏みたいなこと言ってしまった。
『あけおめ!今朝はいなくてごめんね。愛する京汰くんと食べるためのお雑煮を用意してたの♡早く下降りてきて!』
くそぉ...朝日と同じくらいに輝く笑顔でそんなこと言われちゃあ、行くしかねぇじゃねぇか。
てかめっちゃ可愛い彼女みたいな台詞を空気みたいに吐きやがる。式神にそんなスキルいらねぇだろっての!
ダイニングに着くと、ふわぁんとお出汁の香りが鼻をくすぐる。テーブルには、こぢんまりだけれど華やかなお重が2つ。
ちなみにこのおせち、俺達のハンドメイドである。市販のは量が多いし高い。なのでレシピ動画を参考に、味付けだけ俺達好みにアレンジして作ってみたのだ。
かまぼこと人参の飾り切り、こんにゃくの結び、海老の下処理、黒豆といくらの飾り付けは俺。伊達巻とお煮しめとローストビーフと松前漬となますと栗きんとんとお雑煮は悠馬。
...実質料理したのは悠馬だけだ、という無粋なツッコミはやめてくれたまえ。
自分も参加して作ったおせちはマジで旨かった。お雑煮も味と具のバランスが絶妙である。
だから、式神にそんなスキルいらねぇだろって。なんで料理スキルも可愛い彼女スキルもあんだよ?!
まぁそれは置いといて。
「ふわぁ~満腹!新年早々めっちゃ食った!」
そういう俺はすぐさまソファに移動して沈み込み、瞼がだんだんと...
『京汰ぁ寝ちゃダメ!!』
悠馬がなぜか俺を叩き起こそうとする。何だよ心地よくまどろんでたのに。
「なんでだよぉいいだろ正月くらい!」
『食べてすぐ寝たらウシになるよ』
「マジか」
『気を付けな』
マジか。そうなのか。
『ねぇ人ってか式神の話聞いてた?!』
そして1時間後。俺は鏡を見て叫んだ。
「悠馬のバカ!」
『は?』
「ウシになれてねぇんだけど!」
『はぁ?!』
「寝たら干支になれんじゃなかったのかよ?!」
『えーと京汰、初詣行こ』
「なんでそーなる?!」
俺は突如ダウンを着せられ、マフラーをぐるぐると巻かれ、手袋をはめられた。悠馬はフリースで良いらしい。彼は俺を見て溜め息をついた。
『寝たら干支になるって発想がもう天才』
「悠馬がそう教えてくれたのに嘘だったじゃんか。...あ、もしかしてこれから神社行って、ウシにしてくれるとか?」
『なんでそんなウシになりたいの』
「放牧されてみたいから」
『...一刻も早く神社に行こう』
「そんな急ぐ意味あるか?」
強引に俺の腕を引っ張る式神は静かに告げた。
『神様に、京汰の救いようのないバカをどーにかしてもらうんだよ』
「ひぃ、式神が神頼み!」
『黙りなさいっ!』
俺らの関係が逆転してるの気のせい?
式神相手になんか絶対黙んねぇからな!!!