コメディ・ライト小説(新)
- Re: 俺の恋敵は憎たらしい式神だった【新】 ( No.29 )
- 日時: 2014/09/03 15:50
- 名前: 美奈 (ID: GbhM/jTP)
第16話
・・・・・・・・・・・・・・・
俺は半年前、初恋をした。
…篠塚華音に。
彼女はクラス一、いや、学年一可愛い女子生徒だ。
半年間、ずっと片想いのまま。
いつかは想いを伝えたい!…でも顔面に自信のない俺はなかなか実行できず、時は過ぎて行った。
幸い華音には、まだ彼氏がいないようだった。
俺は暇さえあれば彼女に想いを馳せ、いつ告白しようかと考えあぐねていた。
そんな時だった。
『京汰、京汰って、篠塚華音ちゃんのこと好きでしょ?』
悠馬にはお見通しだったのか…!
『だって、授業中は大体華音ちゃんの方見てるし』
「うっ…」
式神にバレた恥ずかしさを必死で隠そうと、俺はやりもしない化学の問題集なぞ広げて、テスト勉強のフリをした。が。
『ねぇねぇ京汰、京汰の学力を知った上で、ひとつお願いがあるんだ』
何かまわりくどい事を言う悠馬を怪訝に思った。
「…何だよ」
『この中間テストで、一教科でも学年平均以下取ったら…』
シャーペンを持つ指が、微かに震え出す。
何を言い出すのか。
「取ったら…?」
『華音ちゃんのことは、あきらめて』
- Re: 俺の恋敵は憎たらしい式神だった【新】 ( No.30 )
- 日時: 2014/10/12 12:54
- 名前: 美奈 (ID: JbG8aaI6)
第17話
「はあっ!?」
俺は握っていたシャーペンを落とした。
でもそんなのはどうでも良かった。
「待て待てタイムタイムターイムっ!!今、何つった?」
『どっから言えばいいの?』
真面目な顔して尋ねる悠馬に俺は叫んだ。
「平均点以下取ったら、の後だよっ」
しかし悠馬は、慌てふためく俺に平然と言い放ったのだった。
『華音ちゃんのことは、あきらめて。…僕、華音ちゃんに、恋をした』
「いやいやズルいだろお前!!だって悠馬は勉強しなくていいんだから!」
悠馬は俺をひたと見据えた。どこまでも真剣な式神を、本能的に怖いと感じた。
『京汰。学生の仕事は何だ?勉強じゃなくて?…ブツブツ言ってるんなら、また壁からするっと方式で京汰の部屋入ってやっても、いつも僕がやっている洗濯をほったらかしてもいいんだよ…?』
「わ、分かったよ!分かった分かった!じゃあ勉強してやるよ!クラスの底辺レベルの学力の俺でもできるんだからなっ、やる時はやるんだ俺だって……っ!!」
宣言した俺に、生意気に"頑張れぇ、その心意気ぃ"などと言っている悠馬である。
「憎たらしい………っっ」
俺の恋敵は、憎たらしい式神だった。
負けたくない。人外のものに篠塚華音をとられてたまるものか。
「やってやる!!」
俺は初めて、"ガチ勢"の仲間入りを果たしたのだった。