コメディ・ライト小説(新)
- Re: 片恋.・。*平行線の恋模様*。・. ( No.12 )
- 日時: 2018/04/07 00:52
- 名前: Aika (ID: brdCxKVT)
Episode5:桜吹雪の中で―――。
それから、 あたしは告白することもないまま―――。
達也と幼馴染みの関係を続けていき。
気がついたら、 何の進展もないまま。
高校1年生になっていた―――。
そんな2年前のことを思い出しながら。
あたしは、 校庭の満開の桜の木々を眺めていた。
このままでいいわけない。
そんな事は分かっている。
だけど―――。
一回、 達也の告白を断ってしまったのに。
あたしから、 告白する…なんて。
できるわけもない―――。
やっぱり、 この恋は。
諦めるしか…ないのかもしれない―――。
そう感じた瞬間だった。
「―――好きなのっ!!」
ビックリするぐらい…大きな声で。
告白をする人がいたことに驚いた―――。
辺りを見渡すと。
桜の木の下に。
二人の男女がいて。
一人は…ショートカットの美人な女の人。
もう一人は…この間の、新歓でドラムを叩いていた吹奏楽部の、 先輩だ―――。
告白をしたのは。
声的に女の人の方だった―――。
現にいま、顔が真っ赤だし。
そっか。
あの人…やっぱりモテるんだな。
たしかに、美形…だもんね―――。
なんて、 ぼんやりと考えていると。
「―――夏希のことは、ただの部活が一緒の友達としか思えないから。だからごめん」
顔色ひとつ変えることなく。
言葉を並べる先輩に。
あたしは、 告白され慣れているんだろうなぁと、ぼんやり考えていた―――。
「―――わたしっ…諦めないから!」
涙混じりな声で、女の人は走り去っていく。
「あっ…オイッ…」
先輩は呼びかけるが、 女の人は止まる様子はなく
そのまま走り去っていった。
先輩は困ったように頭をかきむしっていた。
けど、 追いかける様子もなく。
ただ立ち尽くしていた。
「―――いいんですか、 追いかけなくて」
気づいたらあたしは、
無意識で先輩の近くに行き、 話しかけていた。
先輩は振り返ってあたしの問いかけに答える。
「―――追いかけたって…余計な期待、 させるだけだろ」
先輩の発言に。
あたしは納得してしまった。
たしかに、追いかけてもあの人に余計な期待をさせるだけで。
かえって、傷つける可能性もあるかもしれない。
それなら、 余計なことをしない方がいいかも――。
「――つーか、お前…この間の新歓に来てた1年、だよな?」
「おー!よく覚えてましたね、 先輩」
「なんか、 達也と喋ってたから…なんとなく覚えてたんだよ。達也と知り合いなの?」
「知り合いってか…幼馴染みです」
その言葉に。
先輩の瞳が大きく見開く―――。
「―――もしかして…柚月?さん?」
名前まで知っているとは思わなくて。
唖然としてしまった。
「えっ…なんで名前―――」
「―――アイツが…達也がよく、 お前の話ばっかしてたから、 覚えちまったんだよ。そっか、お前が柚月、 か」
そう言って、先輩は。
あたしに向かって、 優しく笑う。
瞬間―――。
勢いよく風が吹いて。
桜の花びらが大きく舞った―――。
―――『柚月』
なぜか。
先輩に…そうやって、 呼び捨てにされただけなのに。
あたしの顔は、 熱くなって―――。
―――――「吹奏楽部…入るんだろ?俺は2年の皆瀬輝!これから、よろしくな!柚月!」
なぜだか、 鼓動が大きくなった。
―――違う。
ドキドキしてるのは、 達也以外に下の名前で男の子に呼ばれ慣れてないだけだ。
だから。
きっと、 これは…恋じゃない――――。
桜の花びらが舞う中で。
あたしは、 自分にそう言い聞かせていた―――。