コメディ・ライト小説(新)

Re: 片恋.・。*平行線の恋模様*。・. ( No.15 )
日時: 2018/08/31 04:09
名前: Aika (ID: UPSLFaOv)

Episode8:嫌いなはずなのに。




「だー!むっかつく!」

お昼休み。
いつも通り、あたしは親友の芽生と一緒にお弁当を広げていた。

―――とある、先輩のことを愚痴りながら。


「なに?…また、皆瀬先輩?」

毎日の日課みたいな感じで芽生は、半ば呆れた様子で聞いている。

―――だって…いらつくんだもん。


「ほんっと…朝練の時もちょっかいかけてきてさ…マジで、いらつく!」

やけ食いみたいな感じでお弁当のおかずを口の中に押し込んでいると。
芽生が、不意に口を開いた。

「なーんか…最近、 皆瀬先輩の話ばっかだね」

―――その言葉に箸が止まる。

え―――?

言葉の意図が分からなくて。
あたしがキョトンとしていると。

「―――前までは、 達也先輩の話ばっかだったのに」

芽生のそんな言葉に。
あたしは、 何も返すことができずにいた。

「――芽生?」

芽生が要するに何が言いたいのかよく分からなくて。
呆けた顔で芽生を見ていると。

芽生が楽しそうな顔でからかうように聞く。

「―――皆瀬先輩と達也先輩…どっちが好きなの?」



予想もしなかった質問に。




「げほっ…なっ!なに言ってるの、芽生!」




むせこんでしまうあたし。
そして、 反論する。




「―――あんな、性悪でチャラそうな先輩のことなんか好きなわけないじゃん!あたしが好きなのは―――」



そうだよ。
あたしが、 好きなのは―――。





中学1年のあのときから。
ひとりだけだ。





その気持ちは今でも変わらない―――。
変わらない、 はずなのに。






なぜだか、 あたしは…その続きを言えなくて―――。





「……っ………」






もどかしい気持ちでいっぱいになった。





「―――好きなのは?」






芽生が楽しそうな顔であたしを見つめている―――。





―――キーンコーン…。

そこで、 予鈴が鳴って―――。




「―――残念。予鈴鳴ったから、 いこっか」



芽生がそこで話を中断してお弁当を片付けて立ち上がる。

あたしは、 なぜだか…このとき、ホッとしていた。





どうしてだか。




いま―――。












好きな人を考えたとき―――。







浮かんだのは…達也じゃなくって。








むかつく、 嫌いだと思っていた先輩の顔で―――。







「―――ほんと…なんなの、 アイツ」







誰に言うでもなく…1人、 呟いた声は喧騒のなかに消えてしまった―――。