コメディ・ライト小説(新)

Re: 片恋.・。*平行線の恋模様*。・. ( No.18 )
日時: 2019/02/04 02:26
名前: Aika (ID: PyqyMePO)

Episode11:思い出すのは、あの日の面影。





*.・輝 side・.*




「ゲホッ…ゴホッ…」


39度という高熱を久しぶりに出してしまい、学校は欠席。
絶対に昨日…雨にふられたせいだな。

しかも…。

熱があったとはいえ…



なんで、 俺はあのとき…アイツを抱き締めてしまったのだろうか―――。



「クソッ…アイツといると…調子が狂う…」



ボソッとそう言って目を閉じたとき。
部屋にチャイムが響き渡って。
慌てて起きてドアを開けると。



「よっ!風邪、大丈夫かー?」



見知った親友の顔があった。
一瞬…アイツが来たのかと思った俺はバカなのかもしれない。



熱で…ほんと、どうかしてるみてぇだ。




「あのさ…柚月から傘、預かったんだけどここに置いておいていいか?」


瞬間。
少しだけイラついた。

アイツ…達也に頼むぐらい、俺に会いたくねぇのかよ。
なんか、むかつく。

「―――おいー?なに、ムスッとしてんの?」
「別に。いいよ、そこに置いとけ」
「なんだよー、人がせっかく持ってきてあげたのに冷たい反応だなー。もしかして、俺じゃなくて柚月に持ってきてほしかった、とか?」


意味ありげにそう言う達也に少しだけ反応してしまう。
目線を向けると、 真顔の達也がいて。
真剣な顔で口を開いた。



「―――輝、さ。 柚月のこと、好き?」








思考が止まった―――。






俺が…アイツを?

そんなことがあるわけない―――――。




だって、 俺は―――――。







「――――それとも、 まだ…去年のこと引きずって」
「やめろっ!!!」



達也の言葉を打ち消すように俺は部屋中に響き渡る声でそう言っていた――――。




思い出したくもない…忘れたくても忘れられない、
俺の…苦い過去――――。




「ごめん。無神経すぎたな。今の質問は忘れて。ただ―――」
「―――ただ?」



一呼吸置いて…達也は鋭い視線で告げる。




「柚月をもし…お前が好きだと言ったときは…いくらお前でも渡さない」




そう言いはなって。達也は今日、欠席した分のプリントを俺に手渡して家から出ていった。



ひとり、取り残された部屋で俺は乾いた声で呟く。




「アホか…あんな、達也しか見てねぇような女…興味ねぇっつーの」



そうだ…俺が好きなのは――――。





『―――輝っ!』




思い出すのは…俺の名前を呼ぶ真夏の日差しに照らされて
風に揺れる綺麗な黒髪の女の子の姿―――。




「――――未練がましいな…。 星羅―――」








忘れたと思っていたのに。






俺は今でも…君の面影を探している―――。