コメディ・ライト小説(新)

Re: 片恋.・。*平行線の恋模様*。・. ( No.23 )
日時: 2019/07/25 14:18
名前: Aika (ID: tDifp7KY)

Episode16:溢れだした恋心。






今までも…この気持ちに気づくきっかけなんか
たくさんあった。

だけど… あの人へのずっと抱いてきた想いもあって。
こんなのは、一瞬の気の迷いだと自分に言い聞かせて見て見ぬフリをして否定してきた想い――――。



あたしは、 自分の胸に…そっと手を当てる。
あの人との帰り道で…別れてから鳴り止まない鼓動――――。
もう…ごまかせない――――。



――――あたしは… 皆瀬輝先輩のことが好きなんだ。



*********************************************

翌朝。

いつもの変わりばえのしない通学路を歩きながら、昨日気づいたばかりの気持ちにあたしはまだ戸惑っていた。

「嫌いだって…そう思っていたのになぁ」

なんで、よりによって気の合わないあんなやつを好きになってしまったのか…自分でもよく分からなかった。
あたし…どうかしているのかな。

そう思っていたときだった。

「―――柚月」

不意に背中から名前を呼ばれて振り向くと。
そこには、見知った幼馴染みの姿があった。

「あ……達也」

考え事をしていたからか、ぎこちない感じで答えてしまった。
達也はさして気にした様子もなく、ニコッと笑った。

「せっかく会ったし…久しぶりに学校まで一緒にいこっか」
「え…ああ、うん」

この展開は…少し前までのあたしだったら
確実に喜んでただろうな。

複雑な気持ちを心の中で抱きつつ…達也の隣を他愛のない話をお互いにしながら歩く。


「テスト勉強…捗ってる?」
「あはは…昨日、皆瀬先輩に教えてもらったからお陰さまでね~。先輩、思ったより頭が良いんだね!ビックリしたわ~」

皆瀬先輩の話を始めた途端。
達也の歩を進めていた足が止まった。

「?どうしたの、 達也?」

俯いていて…表情が見えない達也に問いかける。
もしかして…怒ってる?

あれ…あたし、いま気にさわること…何か言ったかな。

何も言わない達也が急にこわくなり、悶々と考えていると。
暫くして達也が口を開いた。


「前々から…ずっと気になってた事があるんだけどさ」


そう前置きをして。
再び達也は続きの言葉を紡ぐ。



「――――――柚月って… 輝が好きなの?」






そう聞いたときの達也の表情は。
いままでに見たことがないような、 切ない表情だった。
新緑に染まる木々が風で揺れる音だけが二人の間に響き渡っていた――――。