コメディ・ライト小説(新)
- Re: 片恋.・。*平行線の恋模様*。・. ( No.28 )
- 日時: 2019/09/16 21:25
- 名前: Aika (ID: YhMlOecY)
Episode19:恋の病。
好きだって…
自覚したときには、 いつだって遅くて。
貴方の瞳には、 あたしではなく
別の誰かが映っていて―――――――。
あたしの想いは
決して交わることのない…
平行線の道を辿っていく―――――――――。
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先輩の事が好きだと自覚したのは良いものの…
未だにこの気持ちには戸惑っていた。
だって…
こんな奴、嫌いーとかむかつくーとか心の中で最低な事ばかり考えてたのに。
それがいきなり…恋心に変わるなんて…誰だって思わない。
しかも…あんなに達也が好きだったのに。
人の気持ちって、こんな簡単に変わってしまうものだろうか――――――?
「はぁー…よりによって、先輩かぁ」
思わず溜め息が出る。
芽生にはいつも通りに話したらいいって言われてるけど。
だけど。
絶対… いつも通りでいられるはずなんかない。
意識するに決まっている。
どうしたらいいんだろう。
そんなことを悶々と考えていると…
気がついたら音楽室の前まで来ていた。
そう。
あたしがこんなに、もやもやと考えていたのは今日からテスト明けで部活動が再開するからだ。
つまり…今日からまた、先輩と顔を合わせる日々が始まるということ。
ほんとに耐えられる気がしない。
まだ会ってないのに…ドキドキうるさいし。
そんな風に音楽室の前で入れず、悶々としていると。
「あれ?柚月」
不意に声をかけられた。
振り向くとそこにいたのは、楽器を片手に持っている達也だった。
「えぇっ…達也。パート練習は?」
この時間は他のパートの人は各教室で練習しているはずなのに。
なぜいるんだ。
「いや、ちょっと楽譜を部室に忘れたから取りに来ただけなんだけど」
な…なるほど、 音楽室の隣の部室に忘れ物か。
すると。達也があたしの方を見ながら音楽室を指差して。問いかける。
「―――――入んないの?」
「はっ、入ります入りますー」
そう言って達也から逃げるように音楽室に入った。
音楽室に勢いよく入ると…
皆瀬先輩の他にも数人が揃っていた。
「あ、 ゆづっち!やほー」
「あ…はい、 こんにちはー」
先輩達に挨拶を交わして、あたしは楽器の準備をする。
とりあえず、皆瀬先輩と2人っきりじゃないだけよかった。
そうやって胸を撫で下ろしていると。
先輩と視線が合う。
瞬間。
鼓動が大きく跳び跳ねた。
慌ててあたしは、先輩から視線を外す。
不意打ちは… ずるい。
赤くなっているであろう顔を… あたしは必死で隠した。
「あれ?ゆづっち、顔赤くない?」
「ほんとだ、 風邪かー?」
先輩たち二人のそんな発言にドキッとする。
「きっ…気のせいじゃないですかねー」
適当にそうやって受け流すと、先輩たち二人は心配していたが諦めてくれたようで本当に辛くなったら言ってねーと、優しい言葉をかけてくれた。
顔が赤いのは… 風邪のせいじゃない、なんて。
誰にも…言える気がしなかった。