コメディ・ライト小説(新)
- Re: 片恋.・。*平行線の恋模様*。・. ( No.5 )
- 日時: 2018/04/01 13:49
- 名前: Aika (ID: MmqLdE.L)
Episode2:淡い恋心は、 突然に。
―――達也への気持ちに気づいたのは、 中学1年の冬だった。
あたしが、 めずらしく風邪を引いて寝込んでいて。家には両親も仕事で誰もいなくて―――。
ひとりでいたとき。
―――コンコンッ。
カーテンを閉めていて、 外が見えなくなっている窓をたたく音がして。
ベッドから起き上がり、 カーテンを開けると。
そこには、 ニッと笑う幼馴染みの姿があった。
あたしは、 窓をあける。
「―――何か用?…ゴホッ」
咳き込みながらそう聞くと。
達也が袋を見せて。
「何って…お見舞いに決ってんじゃん」
さらっと、 そんな台詞を言う達也に。
あたしは何も返せなくて黙っていると。
「ドア…開けてよ」
そう言ってニコッと笑う達也に。
不覚にもドキッとした。
―――違う違う。 こんなやつにドキッとしたのは、風邪のせいなんだから。
断じて。
好きだからじゃない。
そう言い聞かせながら。
あたしは、 自分の部屋を出て。
玄関の扉を開けた。
―――「お邪魔しまーす!」
靴を脱いで。
スリッパに履き替える達也に。
あたしは、 台所の方へと向かいながら。
「ゴホッ…お茶…入れてくる…」
力なくよたよたと歩きながら、 そう言うと。
達也が慌てて駆け寄ってきて。
「あ~!いいから!お前は寝てな」
倒れそうになったあたしを、そう言いながら。
支えている。
肩に…達也の手が触れているだけなのに。
なぜだか、 鼓動が速くて苦しくなる。
―――何なの? この気持ち―――。
達也に対してこんな風に思うのは…はじめてだった。そんな気持ちに戸惑っていると。
達也が心配そうに顔を除き混んでくる。
「どうした?…どっか具合悪いのか?」
かっ…顔が近い!
そう思いながら慌てて達也と距離をとる。
「なっ…だい…じょーぶ!」
「そう?なら、いいけど。じゃあ、俺…軽く食べれるもの作ってくるから部屋に行って寝てろよ」
「わかった…」
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ベッドに入って横になっていると。
いつの間にか寝ていたみたいで。
―――「…ん……」
お粥の匂いがして。
目を開けると。
横には冷たいタオルを用意してくれている達也がいた。
「おっ…目、 覚めた?」
タオルをしぼりながら、そう聞く達也に。
あたしは黙ってうなずいた。
「ご飯…食べれそうか?」
「まぁ…食欲はあるから」
「じゃあ、 それ食べて薬飲めよ」
お粥を差し出して、 薬の準備をしながらそう言う達也をみて。
あたしは、 クスッと笑った。
「何がおかしいんだよ?」
怪訝そうにそう聞く達也に。
あたしは、 お粥を口に含みながら答える。
「―――なんか、 お母さんみたいだなーって思っただけ」
そう言うと。
少し残念そうな顔になる達也。
「―――なんだよ、 お母さんかよ」
理由はよくわからないけど。
このときの達也はなんだか、 不機嫌そうに見えた。
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「じゃあ俺は、帰るから!あとはゆっくり寝てろよ」
達也が帰ってしまう。
そう思うとなんだか、 さみしい気持ちでいっぱいになって―――。
なぜだか、 あたしは無意識で。
去ろうとする
達也の服の裾をつかんでしまった。
達也はビックリした顔で勢いよく振り返る。
「―――お願い…寝るまで一緒、 に」
言い終わる前にあたしは、 床に倒れこんでしまった。
意識が遠のくなかで。
聞こえてきたのは―――。
「―――ったく…めんどくせぇ」
ため息をついて、 そう呟く幼馴染みの姿。
だけど。
そんなことを言いながらも。
あたしを部屋のベッドまで運んでくれたことを後から聞いて―――。
そこから、 あたしのなかで。
達也の口は悪いけど、 時々見せてくれる優しい一面が。
特別になったんだ―――。