コメディ・ライト小説(新)

Re: 透明なもの。【感想募集中(´○`)/】 ( No.39 )
日時: 2018/08/19 21:47
名前: sara (ID: f4.sojV4)

こんにちは、saraです!
さてみなさん、やっと更新です!
大変お待たせいたしました!!
本編、どうぞ!

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前回のあらすじ
はじめに「かわいい」と言われ混乱中のはる。ついにアタック!実行委員になろうとすると愛が既に手を挙げていて、はじめと実行委員に?!
それぞれの思いが交わる中あることが起こる……!

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『よろしくね、はじめん!』
『ん、頑張ろ』

「奇跡なんかなかった……」
「はる、まだわかんないよ?」
「そーだよ、ほら、食べて食べて」
いつものハンバーガーショップ。
私はテーブルに突っ伏し、隣のユリは私の背中をなで、向かいの席に座る楓はドリンク片手に私にポテトを勧める。

「せっかく褒めてもらったのに……」
はぁ。またため息をつく。窓ガラスの向こうには、ムカつくくらい青い空が広がっている。

「まぁまぁ、今日は運良く晴れてるし、食べて食べて」
そう言って楓はまたポテトを勧めるので、ん、と言ってポテトをつまむ。
最近雨が降る日が多いし、この天気は珍しいとは思うけど、こんな気分じゃ、天気は晴れでも心は傘マークだ。

「それにしてもさ、はる」
ユリは私の背中をさするのをやめた。
「……んー?」
「あいちゃん、はるの気持ちに気づいてたんだね」
「んー……」
私はあくびする。
「んー、楓が思うにー、あいちゃん、多分嫉妬してたんだよ」
「んー?」
私はポテトから楓のほうにゆっくり顔を向ける。
「今改めて楓を見てみればわかる。フェイスラインもしゅってしたし、私服もセンスがもっと良くなったし、学校メイクも上手くなったし!目の前で可愛くなってって、はじめに褒められて、悔しかったんだよ」
うんうん、とユリはうなずいた。
「確かに、まぁー、少しずつだけど、変わってるとは自分でも思う」
私はまた、窓の外の青空を見上げた。
「そうだよ。たかが実行委員だよ?一ヶ月ぐらいじゃん!そんなんで好きな子完璧に決まるとは思わないけど」
ユリは私の目を見てつづけた。
「それにまだ高1じゃん!」
二人の話を聞くと、確かにそうかも、と思う自分が出てきた。
でもなぁ……。私は再びポテトをつまんだ。

◇1週間後

「はじめん、どう?」
「んー」
うわー、また始まった。
あいちゃんのはじめんトークタイム。
はじめは私の隣の席だから、なんとなくうざったい。見たくないなぁ……。
こういうのも、計算してそーだしなぁ。
そう思いながらあいちゃんをちらりとみる。
ぱちっと目が合う。
わ、やべ。
あいちゃんはニコッと、いや、ニヤリとしてきたので、私は読書をしている楓の机に避難した。
「あー、もうやだ」
私はため息混じりに言った。
楓は本を閉じる。
「はるも大変だなぁ」
「まったくだよー。あれ、ユリは?」
「女子の取り巻きに連れてかれた」
「また?なんか最近多いね」
私がそう言うと、楓は腕を組んでため息をついた。
「んー、なんだろうねぇ」
私はまだ話していたかったけど、チャイムがなってしまったので、席についた。

「ねーねー聞いてよ」
古典の授業が始まり、ざわざわしてくると、はじめは話しかけてきた。
「ん?」
「さっき愛と話してたんだけどさぁ、」
なぬ?!呼び捨て?!この前まで『あいちゃん』だったのに。
「そろそろクラスTシャツ作らなきゃなんだよねぇ」
はじめは笑顔を見せた。
「あーもうそんな時期かぁ」
たかが実行委員。
楓は言っていた。大丈夫だ。
もう1週間も前だし。
「でさぁ、どんな感じにしようかと思ってLINEで話してたんだけどねー」
さすがあいちゃん。
はじめのLINEはもうゲットしたんだ。
「愛は、色をピンクにしたいんだって」
はじめは黒板を見ながら言った

「うんうん」
私はうなずいた。
「でもさぁー」
そう言ってからはじめは声を落として私をみた。
「男がピンクってどーなの」
「ふっ」
私は思わず笑った。
「だって愛に聞けないじゃん」
はじめは口を尖らせる。
「だって、面白くて」
私は笑いをこらえようと苦しみながら言った。
「だってさ、実際どうよ?男がピンクのシャツって。しかもジャージ、紺のズボンじゃん」
ようやく笑いが収まったので、
「まぁー、確かにそうだね。私もちょっとイヤかも」といった。
「今日帰りどっか寄って話そうかなぁ」
む……!
たかが実行委員。されど実行委員!
私は気持ちを抑えて、ノートをとった。

放課後。
「ユリー、楓ー、一緒に帰ろ」
「ごめ、楓学級委員の集まりある」
「私はバイトあるの、ごめんね」
ほかのクラスメイトは、方向違うし……
はじめはあいちゃんとあるっぽいし……。
……ぼっちかぁー。まぁいいや。
コンビニでも行こう。

電車に乗り、降りてまた歩く。
誰ときたって、結局ここら辺に来たらさよならしなきゃいけないし、いっか。
私は音楽を聞きながら歩く。

「……おーい」
小さい声が聞こえる。
「おーい」
また聞こえた。声が大きくなってる。
こわいな、なんだよお……
振り向こうとした時、
「わっ」
「わあっ!」
そこにいたのは凉だった。
「な、なんだ、涼か……」
私はイヤホンを外した。
「なんだ、音楽聞いてたんだ。だから気づかなかったんだ」
そーかそーかと涼はつぶやく。
公園いこうよ、と涼は言ったので、一緒に歩いた。
公園につくまで、いろんなことを話した。
部活、学校、中学の時の友達のことも。

やっと公園についたとき、涼はつぶやいた。
「ねぇ」
涼は前を向いたまま言う。
「なに?」
「悲しい顔すんな」
「え?」
「そんなに悲しそうな顔すんだったら、早く俺とやり直せばいい」
わ、忘れてた。
「いや、その件は、私なりにいろいろ考えたんだけどね、」
焦るわたしの言葉を、涼は遮って私を引き寄せ、抱きしめた。
「俺達、実質、まだつきあってるから、いいでしょ?」
涼の体温と、心臓の鼓動を感じる。
あったかい……。涼の優しい匂いがする。
「もう待てないんだ」
涼は、私をはなした。
私の両方の腕をつかむ。
「俺の前で悲しそうな顔されたくないんだ」
…………。
私は目をそらした。

簡単な事だと思ってた。
ひとをふるのは。
涼にふられた、いや、言われたとき、簡単にひとを捨てるのかと、イライラした。
だから相手の気持ちを考えてふろうとおもってた。

「はる」
なんか、変な気持ち。
申し訳ない気持ち。
はじめが好き。
でも、久しぶりに涼の匂いを嗅いだら、安心した。
「俺、はるとやり直したい」
涼は真剣だった。
こんなふうに真面目な顔、久しぶりに見た。

「ちゃんと、はるにこっち見てて欲しいんだ」

……けど。

「ごめん。ごめんなさい」

涼は、はっとしたように驚き、下を向いた。
「私ね、好きな人がいるんだ」
涼うつむいたままだった。
「だから……ごめん……」
涼は大きく息をすった。
「……わかった。はるがそう思うんなら、俺が強制させちゃダメだしさっ」
「ありがとう。返事、遅くてごめん」
「うん、でも今聞けた」

ばいばい、とかわした挨拶は、ちゃんと届いていたのだろうか。