コメディ・ライト小説(新)

Re: 僕の声は君だけに ( No.1 )
日時: 2019/07/24 17:40
名前: ゆず (ID: oUAIGTv4)

 第一章 君の声が、そばに。

昼間が嘘のように静まりかえった夜。
僕のいる公園は月にそっと照らしだされ、はっきりと目に映る。
きれいだ。
高い場所にある公園からは、下の町が一目で見渡すことができる。所々で家の窓から溢れて輝き、神秘的な景色に僕は見えた。

「バイバイ、瀬ノくん」

肩まで伸びた黒い髪、目元が隠れるほど大きな麦わら帽子、真っ白なワンピースの少女。
両隣には親だろう大人が手を繋ぎ、高い声で笑う。

待ってくれ。

必死に叫んでも、君は止まろうとしない。腕を伸ばしても、より遠くなるばかり。

今、君を放したらいけない。そう、心が自分に呼びかける。
まだ、
言わないといけないことが。

呼吸のペースがだんだん上がっていく。急速な変化に心臓が耐えられず、ぎゅっと握りしめたような痛みが走る。一秒でも、一歩でも前へ前へと思うほど、指先も足もぴんとつっぱり拒もうとする。視界には薄暗い靄がかかり、ただ真っ直ぐ先に君がいることだけが分かる。

まだ、
まだ、
行かないでくれ!

Re: 僕の声は君だけに ( No.2 )
日時: 2019/07/24 17:53
名前: ゆず (ID: oUAIGTv4)

羽織っていた布団を避け飛ばして、行き良いよく起き上がる。

「……夢か」

周りを見れば、自分の部屋だった。夢の中では分からないくせに、現実を目の当たりにすると「動いてないのだからあたりまえ」となるのが無性に腹立たしいが、少しほっとした。
自分より一回り大きいベットに心を許して背中から倒れ、再び寝転ぶ。もともと、母がベットを買ってきたのだが、まさかの二人用。
文句を言うたびに「大きいほうがいいわよ」なんて言っていたけど、も。
どうすれば間違えるのかわからない。
母は昔から、とても困らされる。咳ひとつで病院、家に帰るのが少しでも遅かったら、何かあったんじゃないかと泣きながら心配……。
正直言うとめんどくさい。
だけど、つい嬉しくなる。
自覚はないがおれも周りから見たら、かなりの心配性らしい。
親の遺伝子はたしかに受け継がれるのだ。
恐ろしい。

(それにしても、この夢は久しぶりに見たな……)
「ちょうど、10年前か」
現実だったのか、本当は夢じゃないのか、区別がつかなくなるほど前の出来事。
公園でひとりこっそりと泣いていた少女に声をかけた。

その時が
あの少女に初めて出会った時で

__最後に少女を見た時だった。

Re: 僕の声は君だけに<感想お願い! ( No.3 )
日時: 2018/06/30 17:11
名前: ゆず (ID: 1ZQMbD0m)

「今、どこにいるのだろうか……」
いや、これ以上考えるのはやめよう。
かき消すように首を横に振る。
少女についての記憶はあいまいな部分が多く、思い出そうとすると、痛みとなって拒むのだ。

Re: 僕の声は君だけに<感想お願い! ( No.4 )
日時: 2018/06/30 17:12
名前: ゆず (ID: 1ZQMbD0m)

正面の壁に立て掛けてある時計を見る。
さすがにカーテンの隙間から入る月明かりでは見えないようだ。
左の棚の上に手を伸ばし、スマホを取る。まだ、4時のようだ。
「……んー微妙だな」
5時なら朝まで起きようと思える。しかし、まだ4時。寝るのには朝までの時間が短い。だからといって、起きているには長い気がする...。
少しの間迷った結果、寝ることにした。


「__寝れない」