コメディ・ライト小説(新)
- Re: 僕の声は君だけに<感想お願い! ( No.7 )
- 日時: 2018/06/30 17:13
- 名前: ゆず (ID: 1ZQMbD0m)
あー寝れない。
いやぁ、昔から一度目が覚めるとなかなか寝れないからな。
唸りながらベットの上へゴロゴロ転がる。やっぱり眠れない。おもわず大きなため息をつく。
「さぁ、どうしたものか」
寝れないのなら起きているしかないのだが、朝まで何をするか。
本を読む……には、まだ暗いか。
ゲーム……は、電気がもったいない気がするしな。
「静かだな」
あたりまえだ。誰も起きている人なんているわけがない。
いや、誰もいないならチャンスかもしれない。明日学校に行けば、夏休みに入るのだから、最後だと思えばいい。
少女に教えてもらった、おまじないのようなもの。そんなことを信じていた、小さい頃の僕。今の俺。信じていなくても、やっている俺はまだ子供なんだろう。
真っ暗な部屋で、上着を着て部屋から出た。
- Re: 僕の声は君だけに<感想お願い! ( No.8 )
- 日時: 2018/04/26 21:08
- 名前: ゆず (ID: 1ZQMbD0m)
__今、走っている。
- Re: 僕の声は君だけに<感想お願い! ( No.9 )
- 日時: 2019/07/25 22:49
- 名前: ゆず (ID: oUAIGTv4)
楽しそうに話す声も
車のエンジンの音も
鳥が羽ばたく音も
風に吹かれ揺れる木の音も
夏だと知らせるセミのうるさい鳴き声も
もう何も聞こえない、夜。
すべての音が消えたこの世界で、
俺の耳に届くのは
自分の足音だけだ。
少し大きな世界を独り占めしたような気分に浮かれてながらも、全力で走っている。
ひんやりとした空気が優しく頬を撫でる。普段は味わえないなんとも不思議な感覚だ。
なぜ、走る。別に特別な理由じゃない。あるとしたら、きっと母が待っていることだろう。母は心配性ゆえ感が鋭い。俺が家を出て行ったことも、もうバレているはず。そして、行き先も知っている。
さすがに、ズボンは着替えてくるべきだった。着替えるのがめんどくさかったので、長袖のパジャマに上着を羽織っただけだ。全く走るつもりはなかった。むしろ、ゆっくり歩いて行くつもりだった。
なのに、
「(……うるさい、うるさい、うるさいっ!)」
どうしようもなく自分の胸の高鳴りが止まらない_。
- Re: 僕の声は君だけに<感想お願い! ( No.11 )
- 日時: 2018/09/02 16:07
- 名前: ゆず (ID: 1ZQMbD0m)
体力のことも服装のことも全部を無視して走る。
明日は夏休み前最後の学校だ。終業式では校長がながながと「夏休みは遊ぶためのものだけではありません」なんて話をするのだろう。まあ、おれたちの中では遊ぶ気満々。宿題ももちろんする。だが、最後に居眠りなんてしたら先生に説教をくらいそうだ。それだけは避けたい自分がいる…。
だけど今は、そんなことをすべて忘れていた。
走っているのに夢中だった。
聞こえない。
届いていない。
なのに、だれかが自分を呼ぶ声が聞こえる。
なんの証拠もない、なんの根拠もない。聞き間違え、かんちがい、空耳、幻聴。
いくらだっていえる。ありえないと。
わかっている。分かってはいるんだ。
それでも、好奇心が俺を__。
- Re: 僕の声は君だけに <感想お願い! ( No.13 )
- 日時: 2018/06/30 17:13
- 名前: ゆず (ID: 1ZQMbD0m)
いつの間にか、住宅地を抜けていた。
もうすぐだと実感する。
目の前の石でできた階段はところどころひびが入っており、長い年月を感じさせる。
「それにしても……」
とてつもなく長い。眺めるだけで、登る気を失ってしまう。だがそうも言ってられない。なぜならば、目的地がこの階段の上だからだ。
「ふぅー」
気合をいれるかのように、大きく手を横に広げ、深呼吸する。
よし。いける。
勢いよく、階段に足を踏み入れる。
その時の瀬ノの口元は、
笑っていた__。
- Re: 僕の声は君だけに <感想お願い! ( No.14 )
- 日時: 2018/04/29 08:41
- 名前: ゆず (ID: 1ZQMbD0m)
階段の半分まで来た時には、瀬ノの息は切れていた。
「はぁ、きついな」
高校に入ってからは外に多く遊びに行ったり、運動はしているので、運動系の部活には入っていなくても、体力はある方だ。自分で言うのもなんだが、背が低くても運動神経はある。
夜のひんやりとした空気が、そっとほほを撫でる。足に鎖が巻きついているかのように重い。
まだだ、まだ止まっちゃいけない。
あと、もうすこし!
やっとの思いで登り切った。
手を膝について、止まる。下がった顔を上げるとそこは、神社だった。町の中では有名な方で、毎年夏になると、屋台が出されて祭りが始まる。それは、隣町からも注目されるほどだ。祭りの夜にステージの上でカラオケ大会がある。出たことはないが、聞いていて面白く人気を高めている。
息を整えようとゆっくりと歩く。
神社を横手にまた、森の奥へと進んで行く。用があるのはここじゃない。
- Re: 僕の声は君だけに <感想お願い! ( No.15 )
- 日時: 2018/04/29 16:36
- 名前: ゆず (ID: 1ZQMbD0m)
神社の裏
森の中へと進む道はまるで誰かが手を加えたように綺麗、草一つ生えていない。
まるで奇跡だ。
- Re: 僕の声は君だけに <感想お願い! ( No.16 )
- 日時: 2018/06/30 17:14
- 名前: ゆず (ID: 1ZQMbD0m)
「うぅ……」
夜の森は当たり前に暗く、不気味だった。男だからと言って、暗くのが平気と言う訳じゃない。叫ぶほどではないが(多分)、出来ることなら近づきたくない。
しかし、ここに来ているところを見れたくないので、神社に誰もいない夕方か朝早くに来ている。
一本道を先には、堂々とたたずむ木があった。
周りの木とは比べ物にならないくらい大きく、今まで通って来た道と同様に周りは草一つ生えていない。
足を止めた。いや、止まってしまった。
子どもの頃の記憶だろうか。幼い僕と少女が楽しそうに走ってくる。
「ほら!ここだよ、きょうちゃん。ここが、私の好きな場所」
おれは少女から「きょうちゃん」と呼ばれていた。少女に手を強引に引かれた瀬ノが連れてこられたのが、ここだった。
「へぇ、こんな場所あったんだな」
「すごいでしょ!こーんなに広いんだよ」
広さをアピールするように、大きく手を広げてクルクルと回ってみせる。
普通初対面の奴と手を繋ぐだろうかと思いながらも、楽しそうにはしゃぐ少女の姿が面白く見てか、とてもかわいく見えてか、その時の瀬ノは笑っていた。
- Re: 僕の声は君だけに <感想お願い! ( No.17 )
- 日時: 2018/06/30 17:15
- 名前: ゆず (ID: 1ZQMbD0m)
「きょうちゃん、みててね。こうやって……」
木にめいいっぱい広げた右手を当てて、左手は胸に当たる。目をつぶった少女はしばらくそのままだった。何かが終わったように、瀬ノの方を見る。
「こうやってお願い事をしたら叶うんだよ」
その時の瀬ノのように小さくても、わかるくらい嘘っぽかった。
しかし、少女がやれやれとうるさいのでやるはめになった。
いや、わかっていたのかもしれない。
少女にはもう会えないと。だから、何か繋がっているものが欲しかったんだ。
- Re: 僕の声は君だけに <感想お願い! ( No.18 )
- 日時: 2018/06/30 17:16
- 名前: ゆず (ID: 1ZQMbD0m)
気づけば自分も少女と同じようにしていた。
願い事かぁ。願い事は昔から変わらない。
きっとどこかにいるはずの少女。姿は変わっていても、自分のことを忘れていてもいい。
「おれはあの子に会いた……」
い。
そう言うつもりだった。真っ暗な暗闇の中、何がいるかもわからないちょっと森の中、背後からカサッと音がするまでは。
え?な、何かいる?
体が恐怖という言葉に縛られて固まっている。
なんなのか確認したいが、そんな勇気もない。
ただ、自分の中でごまかすのに必死になっている。
動物か?い、いや、いるとしても、猫やうさぎやタヌキの小型動物だ。じゃあ、人が?いや、この場所を知っている人は少ないし、知っているとしてもこんな夜中に来るやつはいないだろう。
「そ、そうだ。風だったんだよ。まるで、幽...何もいない!」
正直言って全く風なんて全くは吹いていなかった。
恐る恐る振り返る。
何もいない。
安心したようにホッと一息つく。
「帰ろうかな」
木の方に振り返ると、木下に少女がいるような気がした。
笑っていたので、笑い返して手を振った。また来るという意味で。
階段の途中で足を止めた。
山の向こうから朝日が登ろうとしている。やばいな。もうそんな時間か。
前よりも急いで、階段を降りる。もう足は重くなかった。
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階段の上。瀬ノの背中を見る少女がいた。
髪は長く、小柄な少女。
「やっと……見つけ、た……」
彼女の目には涙が溜まっていた。