コメディ・ライト小説(新)
- Re: 君に捧げた初恋(処女作) ( No.3 )
- 日時: 2018/08/11 13:48
- 名前: 華憐 (ID: DIeJh8tY)
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「お待たせしましたー」
「あ、初音、お疲れ様。初日からきっちり90分授業か。
さすがトップクラスのゼミは違いますね-」
食堂で待っていた茉結は、おどけたようにそう言うと、
端っこの席に荷物を移して、私に席を譲った。
「で、初日はどうでした」
「最悪だよ。オタクのサークルの集まりに間違えてきちゃった感じ。」
私は、席に座りながら、深くため息をつく。
「なんだそれ。じゃあ飲み会も、やっぱり行かないの?」
「今からだもん、飲み会。行くわけないじゃん。
私だって黙って延々と飲むほど、お酒好きじゃないし。」
茉結は、私のがっくりした様子に、ふっと笑うと、
「あ、あの子は?Twitterの子!」
と思い出したように言った。
「あー、有紗?悪い子じゃないけど、すごい張り切ってて
なーんかついていけなかったなぁ。THE・温度差。」
「あーいるいる。新しいコミュニティで、必死なタイプか。
で、その子は当然、飲み会も行ったわけだ?」
「そうだよ。男の子と2人で。すごいガッツだわ、あれは。」
「男??オタク??」
「あ、違うの。ひとりだけ、まともそうなのがいたんだよ。
でも、別にイケメンってこともないし、まじめそうだし
見た目普通のガリ勉なんじゃないの。」
「初音さん、きついですねえー。さすがお目が高い」
「きつくないし!」
いつもの調子で、わいわい騒いでいるうちに、
さっきの陰気な空気も、身体から抜けていくような気がした。
一緒にご飯を食べるだけの、とは言ったものの、
いつも一緒にいる3人の中でも、茉結とはかなり何でも話せる仲になっていたし、
実際、彼女といると、素の自分でいれる心地よさがあった。
「で、そういう茉結はどうだったの?」
「あたし?あたしもねー、最悪だった。
ほら、2年の時に小クラスで一緒だった、キザな男いたじゃん?
あれとゼミまで一緒だったの。信じられない」
茉結は、そう言って頬をふくらますと、「でもね」と続けた。
「イケメンもいたの。ほら、なんだっけ、名前忘れたけど、
ジュノンボーイとかになってた俳優に似てる人とかさ。
だからまだ、望みはあるかも。」
茉結が嬉しそうに話すのを見て、はっと思いだした。
そういえば、「今年こそは新しい出会いを見つけよう」
なんで、ゼミ選択の時に話していたんだった。
入学してから、ずっと私たちは女4人組で、行動を共にしてきた。
ケンカはただの一度もした事がなく、それでいて、
不必要にお互いに干渉しない距離感が、ちょうどよかった。
しかし、そうやって2年間、女でなれ合ってきたのがだめだったのか、
色恋沙汰の話になることは、ほとんどなかった。
全員フリー。彼氏いない歴2年以上。
そして今年、大学生活の折り返しを迎えた私たちは
ゼミという新しい活動の幕開けを、いい機会にしようと
意気込んでいたのだった。