コメディ・ライト小説(新)

Re: 君に捧げた初恋(処女作) ( No.7 )
日時: 2018/08/21 14:25
名前: 華憐 (ID: ysp9jEBJ)

「初音はさ、好きな人とかいないの?」

ガタッ…!

不意をつかれて、目の前の美乃里がプッと吹き出すほどに、
わかりやすく動揺した。


「いない!てか、美乃里からそんなことストレートに聞かれるとか
思わなかったんだけど!」



美乃里はよっぽど私のリアクションが面白かったのか、ケラケラと笑う。


その向こうで、吉野くんがトイレにたったタイミングで、
有紗もこちら側に寄ってきた。



「なになに、恋のお話ですか?」

「今ね、初音に好きな人いないの?って聞いてたの。
そしたらいないっていうからさ~。」

「今から見つけたらいいじゃん。ゼミも始まったことだし!」


有紗が意地悪く笑うのに、

「いや、ゼミはさすがにないわ!」

と切り返しながら、私は箸に手をつけた。



「でもさー、吉野くん、いい感じじゃない?
野球部でばんばんスポーツできたらしいし、顔もそこそこだしさ」



有紗の言葉に、私の箸が止まった。


予感的中。


私の心中を察したのか

「やっぱり、有紗は吉野くん狙いなの?」

と、美乃里が代わりに聞いた。



「いや、そんなんじゃないよ!さっき見守るって言ったじゃん!」

有紗は慌てて両手を振りながら、

「とりあえず、美乃里と吉野の後ろをつけることから始めるね」

と、美乃里に、笑顔を向けた。



ぼんやりとしていた線が
少しくっきりとしてきた三角関係。

私はそこに交わることなく、
ただ3人を見つめているだけだった。



交われない、と思った。


現に、私は吉野くんとは、挨拶を交わす程度。お互いのことを何も知らないのだ。

それに、私には、有紗のような積極性もなければ、
有紗についていこうとも、なかなか思えない。

そして美乃里のような、男性に対する理想もない。


どうして私はここにいるんだろう。
いっそメガネ達の中でおとなしくしていた方が
ましだったのじゃないか、とすら思った。



もちろん、その後に、
とんでもない展開が待ち受けているとはこの時は知らなかったのだが。