コメディ・ライト小説(新)
- Re: 乙女ゲーム的な日常…にならない!? ( No.122 )
- 日時: 2019/04/27 14:28
- 名前: *叶* (ID: jyIji0vi)
~「泣かさない」~
「…んで、てめぇは『お試し』してるのか」
呆れたのか文机に向かう土方さんは素っ気なかった(思えば久々の登場だった!)。
「ホントに藤堂さん、どこであんなギャップ萌えさせるような技術を持ってきたんですかねえ?」
あれは高杉さんとは違う意味でヤバいぞ。
そう言や高杉さんからの手紙、まだだろうか。
「島原に行ったことがあるからだな」
島原…。
綺麗なお姉さん方と触れ合う仕組みのアレか。
「奴さん、おめぇに夢中になった途端、切り捨てやがったとよ」
なにを?
主語がないのでわからん。
土方さんはこちらを振り返って、微かに口元を歪めた。
「そこで付き合ってた妓をな」
え…。
私のせい…なのか…?
戸惑う私を後目に、土方さんは続けた。
「彼奴はそういう残酷なところもあるからな…、」
残酷─?
一周回ってよく分かんない。
でも…私がその藤堂さんの贔屓にしてた遊女さんだったら───残酷だ、と呪うな…。
漸く『残酷』の理由を理解した私は、どうすれば良いのやらプチパニックに陥る。
いやいやいや、本当に付き合ってしまったらどうするのさ!?
でも、とまだ私の冷静な部分は、こう聞く。
『捨てられることを勝手に予想して、それで藤堂さんを傷つける事になったら──それこそ私が残酷になるじゃん』
今、勝手に予想するのは止そう。
『お試し期間中』なんだから。
「それでも私は向き合いたいです──例え藤堂さんが救いようのない残酷さを抱えていても」
私は、にっこりと土方さんに笑いかけた。
一瞬、──土方さんの顔が泣きそうに歪んだのを確認した…ような気がした。
「さて!私、お千華ちゃんのお団子屋に行って来まーす」
あえて大声で私は言って、立ち上がった。
振り返らずに、部屋を出ようとした、そのときだった。
- Re: 乙女ゲーム的な日常…にならない!? ( No.123 )
- 日時: 2019/04/27 21:33
- 名前: *叶* (ID: jyIji0vi)
「藤堂を…信じて…おめぇが泣くことになっても、」
土方さん…?
つぶやくような小さな声。
底知れぬ暗さを伴っていて、少し怖くなる。
どうしたんだろう──?
と、考えたその瞬間。
「それでも良いって言えるのか!?」
土方さんの手が、私の腕を強く掴んだ。
「痛い…っ!」
と言っても、土方さんは無視。
流石に恐ろしくなった。
強張る私を、土方さんは壁に縫いつけた。
後ろは壁、前方は鬼の副長。
逃げようがない。
その間も、土方さんは無表情だった。
よし、抵抗してみよう。
私は、小さく手首を動かそうとしてみた。
しかし、───びくとも動かない。
これが──男の人の力…。
「絶対に…言わせねぇ…」
土方さんの表情が、苦しく切なそうに歪む。
好きな人に、壁ドンされてる。
こんな状況じゃなかったらときめいてただろうな。
今は、ひたすら怖い。
私は、視線をそっと逸らそうとした。
だけど、土方さんは許してくれなかった。
- Re: 乙女ゲーム的な日常…にならない!? ( No.124 )
- 日時: 2019/04/30 14:00
- 名前: *叶* (ID: jyIji0vi)
「泣かさない…俺なら」
告白…!?
もしや。
嬉しい気持ち半分、この状態にまだ恐怖が半分。
夢にまで見たような状態なのに、力が怖かった。
少女漫画のような、ときめきは微塵も(というか少しだけしか)なかった。
すっと土方さんの手が、私の顔に触れた。
何をされるか怖くて、身体が強張る。
視界の端が、滲んできて、薄い幕で覆われたように、やがて視界がぼやけてきた。
自分が泣いている、と気づいたのは少し後だった。
私の表情を見たからか、土方さんの手の力が緩む。
その隙に、私は逃げ出した。
あの場合、泣いて正解だったのか?
嬉しがれば良かったのか。
部屋を出て、すぐに誰かの胸にぶつかった。
誰だろ…。
泣き顔を見られたくなくて、顔を伏せる。
「…春香さん?」
その声で私はすぐに誰かわかった。
いつも優しくて、可愛い──藤堂さんであると。
「どうし…なるほど」
訊きかけて、藤堂さんは納得したらしい。
何がわかったのだろうか…?
と私が聞く前に、藤堂さんが私を強く抱き締めた。
自然と顔が上がる。
「泣いてていいですから」
いつもより優しい声音で。
それが聞こえた直後、私は涙を堪えきれず、大声で泣いてしまった。
───そのときは、泣くのに必死で気付かなかった。
私が藤堂さんの胸の中で泣いている所を、偶然来ていたお千華ちゃんが見ていたことを…。
*
【閲覧2100突破!!】
なんと!
2100突破です!!
2000突破で浮かれているところで更に良いことが!!
めちゃくちゃ嬉しくて、舞い上がっておりました←
読んでくださっている皆様、本当にありがとうございます!
これからもよろしくお願いしますm(_ _)m
*
企画の春香プロフィールです(激遅)
名前*
仲里 春香
年齢*
(一応?←)16歳。
性格*
明るく前向き。
しかし、過去にいじめられた事があるので『人に拒絶される』ことが怖い。
常に乙女ゲームか少女漫画思考。
欠点は鈍感で、無駄に能天気なところ、少し人に流されやすい。
- Re: 乙女ゲーム的な日常…にならない!? ( No.125 )
- 日時: 2019/05/02 10:48
- 名前: *叶* (ID: TiyGL1QZ)
~お千華ちゃんと絶交!?~
ふわぁ…。
結局、昨日は藤堂さんが斎藤さんにお願いし、私は斎藤さんと総司の相部屋に泊まることになった。
「どうしたんですか~?」
と総司が訊いてきたけれど、斎藤さんが「余計なことを訊くな」と、飛び蹴りを食らわし黙った。
それを見たら自然と笑ってしまった。
もしかして、総司は私が笑うことを狙ってたのか…?
なんてね。
うーんと伸びをして、朝食を食べるために部屋を出た。
廊下で、偶然(というか必然?)土方さんと藤堂さんにバッタリ出くわした。
ちょっと気まずかったけど、私はなるべく元気に、
「おはようございます!!
昨日のは無かったことにしましょう!!」
と言って、二人の手を取った。
昨日のことを気にしたってしょうがないし。
それでも土方さんが好きなんだし。
あたふたする藤堂さんと、一瞬すまなさそうな顔した土方さんと。
私は、朝食をとる部屋に入った。
*
【祝!令和(遅いけれど)】
令和になりました!
令和でも、今作をよろしくお願いしますm(_ _)m
ついでに人気投票も…((
よろしくお願いします!
- Re: 乙女ゲーム的な日常…にならない!? ( No.126 )
- 日時: 2019/05/06 21:35
- 名前: *叶* (ID: TiyGL1QZ)
「よっ、悪女!!今日も誑かしてんなぁ」
こんな不躾な発言は誰か?
見るまでもない。
原田さんだ。
「悪女で結構!誑かしてるかはわかんないけど」
そう切り返すと、原田さんがニヤニヤと笑んだ。
そういやこの人、野次馬気質だ。
「平助の顔をみても言えるのか??」
私は、藤堂さんの顔を覗き込んだ。
途端に藤堂さんはトマト並みに真っ赤になった。
……こっちまで恥ずかしくなるじゃん…。
でも可愛いや。
私は、藤堂さんの隣に座り、ご飯 を食べ始める。
ん~~っ!
白米はおいしいわぁ。
つくづく日本人で良かったなあ、と思う。
「…幸せそうだな」
斎藤さんが何時もどおりの無表情で言った。
ええ幸せですとも!
あっという間に満腹になり、私は立ち上がる。
続いて藤堂さんも。
藤堂さんが私の耳に、口を寄せた。
綺麗な顔が近付いてきて、ドキッ…とした。
「あの…部屋に来てくれませんか??」
照れくさそうに藤堂さんは囁いた。
どんな用事なんだろう…?
- Re: 乙女ゲーム的な日常…にならない!? ( No.127 )
- 日時: 2019/05/11 17:31
- 名前: *叶* (ID: TiyGL1QZ)
藤堂さんと原田さんの部屋に行き、障子を開けると。
「ニャー」
藤堂さんの膝に、三毛猫が乗っかっていた。
え、もしかして『来てくれ』とはこれを伝えるため?
ちょっとガッカリしたけども(告白かと予想してたから)、子猫は可愛い。
三毛猫の雄は珍しいんよなぁと雑学を思い出しながら、藤堂さんに駆け寄る。
三毛猫の雄は珍しいから恐らくこの子猫は雌だ。
「めっちゃ可愛い!」
私は、藤堂さんの膝の上にいる子猫を撫でる。
もふもふは正義だぁっ!!
「つい最近、拾いまして」
なるほど。
心優しい藤堂さん、見捨てておけなかったんだなぁ…。
なんか萌える。
えっと、アレだ。
美青年+子猫=萌え
この公式は絶対だ。
少なくとも藤堂さんと子猫の相性は抜群!
「名前、決めたんですか?」
シンプルに考えるなら、ミケとか?
藤堂さんは、困ったように眉を下げた。
「決めてないんです…それで春香さんに決めてもらおうと思いまして」
ええっ!?
責任重大。
私は、必死にない知識をフル活用しようと、頭を抱えた。
- Re: 乙女ゲーム的な日常…にならない!? ( No.128 )
- 日時: 2019/05/19 19:34
- 名前: *叶* (ID: Q8MrRCmf)
ない知識を振り絞ると。
以前、なんかの本でみたような知識を思い出した。
あやふやだけども。
確か、武士は潔さを大切にしてたんだっけ。
潔い花=桜。
…勉強サボるために読んでた本の内容で、「ほへぇ~」と思い、メモったはず。
ってことで。
安直だけど、子猫の名前は決めた。
「『サクラ』はどうでしょうか?」
新選組というか武士の考え方をモチーフにしたので、と言い訳がましく付け足すと。
藤堂さんが顔を上げた。
*
人気投票ありがとうございました!!
結果を受け、特別短編でも書こうかと((
平助視点で書きます!
…とか言いつつ、忙しくて更新が遅くなるかもしれませ((
更新が亀になっても、今作をよろしくお願いしますm(_ _)m
- Re: 乙女ゲーム的な日常…にならない!? ( No.129 )
- 日時: 2019/06/09 16:21
- 名前: *叶* (ID: qdcBP0oS)
「良いですね、『サクラ』」
藤堂さんがニコッと微笑む。
綺麗な花が開いていくような感じの笑顔。
………尊い!!
「原田さんには言ってるんですか?」
サクラを飼っていること。
藤堂さんは困ったように視線を反らす。
…言いにくいのね。
せめて同室の人には言おうよ。
「春香さんとの、2人だけの秘密にしたかったんです」
恥ずかしそうに顔を赤らめて、藤堂さんが言った。
『2人だけの』…。
心臓がドクンと飛び跳ねる。
『2人だけ』の甘い響きがすごく素敵で。
………………胸がキュンと熱くなったのはもちろん秘密だ。
- Re: 乙女ゲーム的な日常…にならない!? ( No.130 )
- 日時: 2019/06/14 21:21
- 名前: *叶* (ID: qdcBP0oS)
「出かけますか」
サクラを撫でていると、不意に藤堂さんが私の顔を覗き込む。
整った顔が近付いてきて、ドキンと胸が高鳴った。
……恋する乙女みたいだな、私!
「はいっ!」
タダでお団子を食べれるし、…それに。
キュンと鳴る心音に、私はある予感をしていた。
…まさかね?
「行きましょう」
立ち上がった藤堂さんに続いて、私もすっくと立った。
- Re: 乙女ゲーム的な日常…にならない!? ( No.131 )
- 日時: 2019/06/25 18:37
- 名前: *叶* (ID: qdcBP0oS)
お団子屋に着いて、私はすぐにお千華ちゃんを見つけた。
「お千華ちゃーん!」
声を張り上げて、名前を呼ぶと。
振り返ったお千華ちゃんの表情が、ゆっくりと強ばっていく。
そして、ふいっと顔を逸らし、店の奥へと走り去っていった。
えっと‥?
今の、無視、された…??
なんで、無視されなきゃいけないんだろう。
首を傾げながら、私は胸が小さく痛むのを感じていた。
- Re: 乙女ゲーム的な日常…にならない!? ( No.132 )
- 日時: 2019/07/11 08:07
- 名前: *叶* (ID: 4oMZT1gB)
藤堂さんが、不思議そうに言う。
「気付かなかったわけじゃないですよね?」
「はい、絶対に」
気付いてなかったら、あんなに顔を強ばらせる理由がないじゃない。
私は、店の奥に入った。
入り口の横に、お千華ちゃんが佇んでいた。
「あの、……お千華ちゃん?」
呼びかけながら、そっと肩を叩くと。
「触んないで!!」
強く、押し返された。
あまりの勢いにバランスを崩す。
藤堂さんに抱き留められ、なんとか体勢を戻すと。
「………『応援する』なんて嘘だったのね。…………もう、しばらく話しかけないで」
お千華ちゃんが顔を俯かせて、私の横を通り過ぎて行った────。
- Re: 乙女ゲーム的な日常…にならない!? ( No.133 )
- 日時: 2023/11/22 10:58
- 名前: 幕末 (ID: 8comKgvU)
- 参照: https://www.kakiko.cc/novel/novel2a/index.cgi?mode=view&no=6430
初コメント失礼いたします。
最近、新選組にまつわる小説を書こうと思っているものです。
とても素敵な恋物語で、うっとりして読ませていただきました。
いつも明るく前向きな春香ちゃんが、最初は乙女ゲームの妄想一筋だったのに芹沢一派粛清事件のときに決然として想いを口にするシーンなど、登場人物の成長や葛藤が描かれているのが大好きです。
また、スピード展開がいかにも激動の時代にマッチしているなと思いました。
清水のお団子屋での沖田さんの初恋エピソード、芹沢粛清事件、久坂玄瑞の存在など史実に基づいた事実がファンタジーのスパイスになっていて最高です!!
ちなみに私的には、土方さん×春香ちゃん推しです。
(藤堂さん人気のようですが、私は土方さんの厳しくも優しい恋心が好きでなりません)
最後に更新されたのが2019なので、今後の更新はないんでしょうか……?
藤堂さんと春香ちゃんの『お試し期間』も気になるので、続きがぜひ読みたいです。
もしよろしければ、続きを書いてくださると嬉しいです。
