コメディ・ライト小説(新)

Re: 鶺鴒と春 ( No.1 )
日時: 2018/12/22 17:12
名前: *叶* (ID: JTGaf1wb)

【もしも二人きりで月を見るなら】
藤堂ver

「わぁっ、でっかい月だなあ」

春香が無邪気に平助の隣に座り込み、そう言った。
中秋の名月なのか月が大きい。

「本当ですね」

言われてみなければ、そんなに月は見てなかったなあ、と平助は呟いた。

「私、藤堂さんとコレ、みれて嬉しいです」

深い意味は無いはずなのに。
と分かっていても、平助はドキドキする。
喉から心臓が飛び出てしまうくらい、ドキドキしていて。

「あっ、お茶淹れてくるの忘れてた」

しかも、寄りによって土方さんのだ、と春香は真っ青になる。
忘れたら絶対叱られる、と春香は慌てて立ち上がった。

「それじゃ、藤堂さ…」

と敷居を跨ごうとした、その瞬間。

後ろから、ギュッと抱き締められた。
温かい体が背中から熱を伝える。

「と、ととと藤堂さん!?」

めちゃくちゃドキドキするんですけど、と春香は呟く。
その顔は真っ赤だった。

「それが終わったら、また来てくれますか?」

平助の声が、春香の耳を擽る。

「は、はい!」

ようやく放され、春香は廊下を走る。

────惚れちゃうじゃないかぁぁ!!

と内心、叫びながら。