コメディ・ライト小説(新)
- Re: 仮定したなら反論だ! ( No.8 )
- 日時: 2019/02/17 22:15
- 名前: ゆら葵 (ID: 7YSFrjgb)
《圭右side》
「あ、そっか。」
こいつはそう言い、オレの心臓がドキッと跳ねる。
こいつは何を言うつもりだ⁈も、もしかして、オレの気持ちが…⁉︎そう焦る中、こいつは言った。
「心配してくれてんだ!」
その言葉を聞いて、オレはこいつの鈍感さを改めて思い知る。アホだが、頭はいいと思う。しかし、この鈍チンっ!アホ!あんぽんたんっ!
だが、自分の身を考えると、安心の方が大きかった。そういうことにしておこう。
「そ、それだよ。…てか、お前のチョコに対する愛は知ってるよ…。だって、あんなことがあったか…ら…。」
あ、やべ。思い出しちゃった。昔にも、このような事があったことを。
「おそらく、お前は覚えてねーだろーな。」
つい、ため息をついてしまう。こいつのアホさと、オレの愚かさに。また、それらは、今もなおご健在でいらっしゃることにだ。
ー幼稚園児の時ー
「あついー。」
オレらはかくれんぼをして遊んでいた。その日はとても暑かったが、元気なオレらは、お菓子を持ち寄り、遊んでいて、オレはチョコレートを持って来ていた。ここが問題。
「あついー。早く見つけてよー。」
オレは案外隠れるのが上手くて、見つけられるのが遅かった。そして、ポケットにはチョコ。なんと可愛いことか。真夏にチョコって。それを肌身離さず持ってるって。幼稚園児の頭脳を侮ってはいけない。
「あついー。ふらふらしてきた…。」
そして、可愛い点がもう二つ。こんな日に、水筒を持って来ていなかったこと。確か、机の上に忘れていたのだったと思う。そして、熱中症を知らないこと。いやー、可愛いさがここまでくると、只のバカだし、最早凶器。頭が働いてなく、『あついー。』を連呼している。
オレは身体の異変に気が付かず、トンネルの遊具の中に、ずっといた。
「かしのちゃん…見つけてよ…。」
意識が遠のいていく。オレは気絶し、遊具の中でうずくまるしかなかった。
「……くん!けーくん!」
目を開くと、そこにいたのは、涙目のあいつだった。
「かしの…ちゃん…?」
「けーくんっ!よかった、よかった!もう、死んじゃったかと…!」
「おれ、死なないよ…。もう、かしのちゃんったら…。」
「ねぇ、けがない…?もうだいじょーぶ?」
オレは答えようとした。
「うん、だいじょう…」
「じゃあ、チョコは?チョコはどこ?」
なのに、あいつはオレの返答を聞かず、チョコの心配をした。
「え、チョコ?」
「うん、チョコ。」
酷いとは思わないか?起きて早々、チョコ!今考えると、熱中症なんて、死に至る場合もあるし、オレはあいつの心配を無下にした事を反省している。だが、それは、オレだけを心配してくれていたらだ!
「お、おれのことは…?」
「え?だって安全確認できたし。チョコが一番大事だよね!」
「ね!っていっても、なにもかえせないだろ。けーくんがかわいそうだ。」
これを言ったのは、幼き、柊。
「ま、かっしーはチョコの方が大事かもな!」
その後に楓が続いた。
「そ、そうなの…?」
それを聞いたオレは、泣きそうになった。
「チョコはどこ?」
あいつはオレの言葉を無視し、目を輝かせる。
「…ここだよ……。」
オレはポケットからチョコを取り出した。
「やったっ!って、あれ?」
あいつはオレからチョコを奪い、銀紙を開けた。その中には、ドロドロの茶色い物体があった。
「チョコ〜。」
あいつは肩を落とす。
「ま、夏だしな。」
「ま、しょーがねーだろ。」
柊と楓が言った。
「チョコ、こんなになっちゃったから、帰る!」
あいつは家の方向に歩き始めた。
「えー、なんで!遊ぼーよー!」
オレはあいつを追っかける。オレは、チョコに負けて、ショックだった。だから、こんなに覚えている。