コメディ・ライト小説(新)
- #13 あおいとうみねこ ( No.15 )
- 日時: 2019/03/02 16:05
- 名前: 空巫女 (ID: eP4z3AoX)
<#13 あおいとうみねこ>
<<千影side>>
日曜日の昼。私達は紅実に某ショッピングモールに呼び出された。
「紅実、遅いわね....暑いし店の中に入る?」
「そうしよ。あと10分来なかったら帰ろっか」
海猫と会った日を初夏と呼ぶならば、今は夏。
なんせ、7月の中旬。来週からは夏休みなのだから。
「ごめんごめん!遅れた!」
紅実の元気な声が聞こえる。
「遅いわよ、全く。で、黒い狐は?」
私が問うと、紅実の背後から一人の人物が。
「やっほー!ウチは葵!くるちゃんのペットの獣人だぞ☆」
「!?」
葵か。紅実がちゃんとした名前をつけるのは意外だった。
そして、海猫が固まっている。
「どーしたのさ、うみちゃん?そんな硬い顔してー」
葵は海猫に近づく。対する海猫は、ドン引きしていた。
「こんなの、私が知ってる狐じゃない。狐は異常な程に堅苦しいもん」
その海猫の言葉で一瞬葵の表情が固まったのは気のせいだろう。
「紅実、葵って、初めからあんな感じだったの?」
「いや、海猫の言うとおり堅苦しかったんだけどさ、それじゃ駄目だと思って、口調を変えようとしたらこうなった」
え、それでこんな風に変わる物なの?海猫がドン引きするレベルに。
「にゃぁぁ!こんな葵なんて嫌だ!」
葵にもふもふされながら悲鳴に似た声を出す海猫。
「紅実、戻せないの?」
「戻せないも何も、これ、演技だし」
「「は?」」
私と葵から逃れた海猫の声がハモる。
「主....もう演技を終えても宜しいのでは?我とて、疲れますし、海猫殿に辛い思いをさせるのは心苦しいです...」
先程までとは一変、凄い堅苦しい口調の葵が紅実に話しかける。
「それでこそ葵だよー!」
「コン!?」
今度は先程とは逆に、海猫が、葵に抱きついている。
「やっぱり、ありのままが一番か...」
「そうとは言い切れないけど、今日のはやり過ぎよ」
私と紅実は、中のいい二人の獣人を眺めながら、そんな会話をしたのだった。