コメディ・ライト小説(新)
- #14 ふくえらび ( No.16 )
- 日時: 2019/03/02 17:06
- 名前: 空巫女 (ID: eP4z3AoX)
<#14 ふくえらび>
「と、いう事で、何事もなくユニシロに来ましたー!」
「こら、早急の出来事を無かった事にしないの!」
「えぇ、いいじゃないか...」
私達はショッピングモール一階にある、服の大手チェーン店である、ユニシロに訪れていた。
因みに、“早急の出来事”とは、紅実達と合流した時の、葵の演技の話である。
「わぁ、広い!」
「これが服屋ですか....今は7月だけあって、半袖等の夏物が多いですね」
獣人達は、見慣れない光景に驚き、早速店内を見回っている。
まぁ、当の本人達が気にしてないのなら、早急の出来事は無かった事にしてもいいか。
後、これは今更の話だが、獣人達は、私達の服を着ている。葵なんかは、初めて人の姿になった時は着物だったそう。嘘かと疑ったが、葵の堅苦しい性格なら、本当っぽい。
暫くして、葵が戻ってくる。
「主、着物が見あたりません...」
「「あるわけない!!」」
葵の言葉に、紅実が怒る。私もつられて怒ってしまった。
「では、何を着れば良いのですか?この、主に借りている服も着心地が悪いですし...」
「そもそもな、着物なんて日常じゃ着たりしないぞ。普通の服を選んで慣れろ!」
紅実がもっともな事を言い、葵を説得する。
「すみません!今後、着物は一切着ないと誓います!」
「大袈裟だけど、そんでいい。この店にある服で、好きなのを選んで来い」
「承知しました!」
葵は命令を受け、走っていった。
「店内は走るなよー」
紅実が呆れた声で注意するも、恐らく聞こえてないだろう。
数分後。私と紅実は別れて、それぞれの獣人の所へ。
「海猫、いいの有った?」
「あ、千影!このクリーム色のTシャツと紺色のスカートと、向こうの棚にある、茶色い上着が気になってさ。試着してみていいかな?」
「ええ、良いわよ」
一応、値札を見ておくも、そこまで高くないので大丈夫だ。
「ありがとう。じゃあ、試着室行ってくる!」
海猫は上機嫌で試着室へ向かった。
そして数分後。
「これは買いで!」
海猫は先程試着した服を、カゴに入れて戻ってきた。
「じゃ、レジ行こ」
「駄目よ。1セットで足りると思っているの?洗ったりすんだし、4、5着はあった方がいいわよ。」
既に買う気満々の海猫に言い聞かせる。同じ服を毎日着られるのは、こっちも嫌だしね。
「わ、解ったよ。さっき、気になるの何着か会ったから、それ持ってくるね!」
それから、海猫が何着か服を持ってきて、全部試着した。尚、高い服は試着前の段階から却下しておいた。
そして会計。とりあえず数万円持ってきたので、当然足りた。海猫が最初に試着した服は、本人の希望でそのまま着ていく事に。
「後は葵達ね」
「葵の事だから時間がかかりそうだね...」
そんな会話をしながら店を出ると、居た。
何が居たって?紅実と葵以外にあるの?
「遅かったなー!」
何故か勝ち誇っている紅実。
一方の葵は、白いワンピースに、長い黒髪を白いリボンで纏められていた。そんな葵は、恥ずかしいのか耳まで真っ赤だ。あれ?耳...?
「葵、狐耳出てるじゃん!」
「な、我としたことが!お指摘感謝します、千影殿」
狐耳がペタンと垂れている。可愛い。
葵は、指摘されると直ぐ様狐耳を消した。
何故耳が出ていたか聞こうとするも、葵も紅実も、何も答えなかった。何があったのかは、ご想像にお任せします。