コメディ・ライト小説(新)

#17 なつのけいかく ( No.19 )
日時: 2019/03/07 18:43
名前: 空巫女 (ID: A3jnu3NM)

<#17 なつのけいかく>

翌日。白鳥家にて。
「なぁ、海行こうぜ!」
私達は夏休みの計画を立てるため、部活がない夏休み初日に集まっていた。
「ここ、内陸部だから海から遠いから無理ね」
私は、紅実の提案を現実を伝えて否定する。
「ならプールでどうだ!」
紅実自身も海は無理だと解っていたのか、即座に代わりの案を出してくる。
「いいんじゃない?」
「まぁプールなら市内にありますし、現実的ですね」
私と葵は揃って肯定する。
葵って、数日前より結構堅苦しさが減ってきている気がする。あれか、クラスの子達と話しているから、自然と変わってきているのか。
「海猫は...水大丈夫?」
先程から黙っていた海猫に声をかける。
「平気平気。水が無理だったら“海猫”なんて名前を名乗らないよ」
それもそうか。
“何を今更”と言いたそうなのが、凄い感じ取れた。
「なら、いつにする?吹奏楽はかなり部活ある日が多いから...」
そういって、別の部屋から、部活の予定表を持ってくる。
「お盆休みは主の両親様と過ごさなきゃいけないですし...って、この予定表、本物ですか?」
葵が予定表を見るなり疑いの目で此方を見る。
「本物だよ。私も初めて見た時は何かの冗談かと思った」
「信じたくないが、海猫がいうのなら間違いないだろう。私らの高校の吹奏楽は練習量がヤバいからな...」
本当の事を知っている海猫と、昔からの友人で、私の事をよく知っている紅実が言う。
「主と海猫殿がいうのなら、お間違いないですね...申し訳ありません、千影殿」
葵は自分が変な疑いをしてしまったからと、私の前で土下座する。変わってなかったよ、この黒狐あおい
「あ、葵!頭を上げて!あんなハードなスケジュール見たら、疑う方が普通だから!」
私は慌てて葵をフォローする。
まぁ、入部初期の私だって疑ってたし、瑠姫に関しては、先輩に“本当ですか?”って聞いてたくらいだからね。
「お、お気遣い、感謝します」
疑う方が普通と聞いて、葵は安堵して頭をあげた。
そんなこんなで、夏休みの予定は着実に決まっていった。部活が忙しいけど、皆で遊べるから楽しみだ。
夏休みだから獣人二人が気を抜いて人前で獣の耳や尻尾を出さなければいいけど...でも耳程度なら取り繕えるけど、完全に猫や狐の姿になったらどうにもできないからね...

そして、問題がひとつある。
紅実バカについてだ。
「葵、ちょっと別室で話たい事あるのだけど、いいかしら?」
これを話すのは、本人より葵が最適だと思い、声をかける。
「は、はい!我ですか!?」
「そうよ」
突然の指名に、驚きで声が裏返る葵。
でも、それ以上何かいう事は無く、私についてきてくれた。

別の部屋。
「そ、それでお話とは...」
葵は、先程の部活についての件だと思っているのか、緊張していた。
「そんな、緊張しなくてもいいわよ。話っていっても、紅実の事だし」
「あ、主の事、ですか?」
葵は、呼び出された理由が、自分が想像してた事と違ったから、唖然としていた。
「そ、紅実のね。夏休暇中課題しゅくだいの事なんだけど、毎年、休み最終日に“課題終わってないから写しさせてくれ!”って、私を巻き込んで徹夜するのよ...だからね、葵が計画的に勉強するように、言っておいてくれない?紅実はやればできる子だから」
私は、毎年紅実によってもたらされる苦労を、葵に押し付ける事にした。定期テストはちゃんと平均以上取っているのに、課題はちゃんとやらないからね...高校生になってからも一緒に徹夜するのは嫌だからね。
そして、葵は私の話を聞いて、呆れを通り越して笑っていた。
「ふふっ、主が、そんなっ...」
ここで紅実がいたら、絶対笑わないだろうが、今は居ないから思いっきり笑っていた。可愛いな。
「で、紅実の勉強計画、お願いできる?」
「は、はい!我にお任せください!」
葵は胸をはって宣言する。
「ありがと、期待しているわよ。これは葵だから出来るのだから」
そう言ってプレッシャーをかける。全部任せるから、例年の苦労を無くしてね、葵。

こうして、私が心配していた問題も解決のめどがたった。さて、明日からは大会に向けて部活の連続だ。