コメディ・ライト小説(新)
- #18 たいかいにむけて 吹奏楽編 ( No.20 )
- 日時: 2019/03/12 09:47
- 名前: 空巫女 (ID: pNKCfY7m)
<#18 たいかいにむけて 吹奏楽編>
<<海猫side>>
夏休み。私達吹奏楽部は、夏の県大会に向けてほぼ毎日練習していた。
「海猫、打楽器の運搬手伝ってあげて!海猫の楽器はこっちで運んどくから!」
「了解です!」
今日は体育館で練習するので、音楽室から楽器を体育館に運んでいる。
私は同じホルンパートの先輩に指示を出される。
獣人である私は人間より身体能力が高い為、重い楽器を運ぶのに適役なのだ。
重いグロッケン (解りやすくいうと鉄琴)も私にかかれば比較的楽に持つことが可能だったりする。
私は移動スピードもそれなりにあるので、何度も体育館と音楽室の間を往復する事になった。
この吹奏楽部は45人 (そのうち40人が女子)の部員がいる。大会には、大編成で出るという事で私達一年生も参加する。一年生だから下手って人は少なく、大半が中学から楽器を吹いてきた人だし、私に関しては、ね。獣人の力と関係なく才能があったそうだから、足を引っ張る事はないよ。
体育館にて。全ての楽器の運搬が終わり、合奏練習が始まる。
顧問の先生が指揮棒を振り、それに合わせて音が奏でられる。やがて、合奏が終わると、顧問の先生による指導が入り、調整されていった。
こうして吹きながら聞いていると、この学校の吹奏楽部ってレベルが高いって思う。千影に聞いた話だと、ここは過去に何回も全国大会に出た事があるそうで、今年も当然全国で金賞を取ることが目標だそう。あれ、私ってかなりハイレベルの部活に入っちゃた...?
合奏練習終了後の昼休み。各自弁当を持参して、仲の良い人同士で食べている。私が入部して数日は千影と一緒に食べていたが、1ヶ月以上経った今は、すっかり馴染んで、同じパートの人達と食べている。
「海、あんたホルン上手いわよね。アタシら経験者からしたら、本当に部活入るまで楽器経験無かったなんて、到底思えないわ」
そう言って、部活なのにうどんを啜っている、部活体験時に私を誉めてくれたホルン担任で2年の、巽樹李先輩が私の頭を軽く叩く。
「よくいいますよ。鳥先輩だってホルンを始めたの、高校入ってからですよね?」
「鳥先輩いうな!この猫め!」
「わー先輩が弄ってくるー」
私は棒読みで、冗談で髪を弄る先輩に答える。
この、巽先輩は、私がいった様に、後輩からの愛称は“鳥先輩”である。理由は、先輩が白鳥の獣人だから。
巽先輩は、冗談が多く、人懐っこい性格だか、本当は女子力が高くて、優しい人。巽先輩の居候先は、親を亡くして独り暮らしの、中学生の子の所で、その子の姉代わりの存在だそう。
「先輩。ずっと気になってますけど...先輩ってよくうどん食べてますよね...」
「うどんは女子力よ!」
「はぁ...つまりどういう事なんです...?」
「うどんって美味しいじゃない。麺類ではうどんが最強よね!」
まぁ、このとおり少し変な所もある先輩なんだけど...
どうでもいいけど、私はラーメン派なのだが、それを巽先輩に言った日は、うどん屋で夜までうどんの良さを言われたんだっけ...
まぁ、なんだかんだいい先輩なんだけど。
そんなこんなで、大会に向けて頑張りつつ、部活の雰囲気にもすっかり馴染めている。
あと半月程で、大会。頑張らないと...