コメディ・ライト小説(新)

#20 ほうもん ( No.23 )
日時: 2019/03/14 17:51
名前: 空巫女 (ID: 8Uc4pCMr)

<#20 ほうもん>

<<千影side>>

部活動の毎日が過ぎ、お盆休み。
いつもなら実家に帰るのだが、両親は今、アメリカに行っている。父親がアメリカ人だしね。私も行こうと考えたが、今年は海猫がいるのでやめておいた。

そして今、私は机に広げられた夏休みの英語の応用問題集を前に唸っていた。
「千影...英語進んでる?」
唸っている私を心配したのか、海猫はいつの間にか私の隣で聞いてくる。
「全然って事でもないけど、あまり...」
私は5教科の中で、英語が一番苦手だ。父親はアメリカ人なのに、英語だけは平均点まで取れない。他の教科は平均点なんて余裕で越しているのに。
まぁ、日本で生まれ育ってきたから仕方ないよね。父親が英語話している事見たことないし。
「千影あまり進んでないなんて以外...あ、そこはbじゃなくてdね」
「むぅ、何で海猫が解るのよ。助かるけど...」
私は頬を膨らませながら、シャープペンシルを動かす。
いくら海猫には獣人補正があっても、こんなミスを指摘されるなんて...
私が不機嫌になっていると、“ピンポーン”と、インターホンが鳴る。
「誰かしら...紅実は両親といる筈だから多分違うだろうけど」
私は立ち上がると、玄関へ向かう。
玄関の扉を開けると、そこには瑠姫と見知らぬ獣人が居た。
私は面倒事の予感がして、扉を閉める。
「何で閉めたの?」
部屋から出てきた海猫が不思議そうに問う。
『ちょっと!何で閉めたの!?』
扉の向こうからは瑠姫の声が。
「ああ、成る程」
私が閉めた理由を理解した海猫がため息を吐く。
さて、面倒な1日になりそうだ。