コメディ・ライト小説(新)

Re: 男子校の生徒会長は今日も男子生徒に告られる ( No.3 )
日時: 2019/03/18 23:42
名前: Rey (ID: NvHaua1/)

二話 生徒会長と愉快な(?)お友達


生徒が教室を後にして、数分後。
この教室に、救世主メシアが現れた。
「…うっわ…こりゃまた………」
如何いかにも染めています、という明るい茶髪に、赤色のメッシュを入れ。
耳に金色のピアスをつけているところから見れば、まさに理想の通り(?)のヤンキーである。
金髪じゃないだけマシだが。
そんなザ・フリョウな男子生徒…クラス【ツヴァイ】のバッジをつけた、その生徒は。
迷わず机に突っ伏し微動だにしない玲夜の席へと…そして。
「おい、"レイ"。この俺が慰めてやっから、早く顔上げろ」
とても優しい声で生徒会長の愛称を呼び、サラリと艶やかな黒の髪を撫でた。
ピクリ、と反応を見せ、おそるおそる顔を上げた、玲夜に、ツヴァイの生徒は………。



「………毎度毎度、興味もない男から告られて、お疲れ様っしたァ♪」
ーーーーとてもいい笑顔で、中指を立てた。



……………………ビキッ………と。



玲夜の中で、何かがひび割れて壊れ。

「…お前なぁ…ッ!人がどんな気持ちでやってると思ってんだ!」
塞ぎ込み溜めていた哀愁全てがこの言葉により怒りに変換され、生徒会長という立場を忘れて玲夜は吠える。
…が。
「んなのシラネ。だって俺生徒会長サマみてぇに男にモテねぇしィ?」
「あ゛ぁ!?」
そんなの痛くも痒くもない、とでも言いたげな顔で、プギャーという効果音さえつきそうな程煽る、その生徒に。
…あの温厚で優しい会長のドスの効いた声が聞こえたのは、きっと気のせいだろう、とクラスメートは聞かなかったことにした。
「だいったいお前はいつも俺をからかうけどな、誰が勉強教えてやってると思ってんだ!少しは労いの言葉や感謝の意をだな!?」
「お返しはちゃ〜んとしてんじゃねェか。ほれ、悲しみが怒りになった〜。これでレイはストレスでハゲる事は無いな!」
「うっせぇ!テメェもストレスの一部ってこと忘れんなよ"陸"!」
と、"幼馴染くされえん"の名を叫んで、玲夜…愛称、レイは陸と呼ばれる生徒の胸ぐらを掴まんと立ち上がった。
陸…八神やがみ りくは、リンドウ学園高等部二年の、【ツヴァイ】クラスであり、この学園に名を馳せている者の一人である。
そんな陸が毎度アインスの生徒から呼び出しをくらうのは、ツヴァイのクラスメートからしても日常風景であり。
そして、またそれが"フった生徒会長、傷心しょうしんした心をあおっして"という要件という事も、認識済み。
この会長の豆腐メンタルに心が折れそうになりながらも、それでも長年の付き合いなのだから、大体どうすれば心が立ち直るのかも熟知している。
ーーーので。
「うわ〜親友をストレスとか言っちゃう生徒会長マジありえねぇわァ…」
陸は、誠心誠意レイの心の支えになろうと頑張あおるのである。
それが、たとえ周りから誤解を招きそうなレッテルを貼られることになろうとも。
…陸は、自分がここに呼ばれる意味を、真っ当する(悲しみを怒りで隠す)のである。
………………いや、まぁ、ちょっとかっこよく言っているが、要約すると。
ーーーーーただ煽ってキレさせてる。
ただ、それだけである。
つまるところ、陸が呼ばれる理由はただたんにレイをキレさせるために呼ばれるだけであり、またそれのおかげで絶交するのでは、と考えた事も無くはない、ととある生徒は思ったが、案外この二人の仲は深いようで。
伊達に幼馴染を名乗っていない、とアインスのクラスメートは思った。
"…玲夜も案外陸さんに甘いよなぁ……"とも。
「くっそ……はいはいもう俺はメソメソしませんよ〜っだ……さっさとツヴァイに戻れ…」
「へいへ〜い…………お前、あんま気にすんなよ、それでお前が塞ぎこんだら誰が高等部を仕切んだっての」
…………………。
一瞬の沈黙の末、先に口を開いたのは、生徒会長で。
「…るっせ……急に真面目モード入んな馬鹿」
「はっ。もう乙女モード入んじゃねぇぞ、生真面目」
日に当たればキラキラと眩しく輝く人口茶色の髪を揺らしながら血のように赤い瞳を細め挑発的に笑ったツヴァイきっての"馬鹿"と。
真っ暗闇に溶けそうな漆黒の前髪を耳にかけながら海色の瞳をジト目として見やる"生真面目"。
…成績が常にトップを独走する生徒会長の友人は、高等部二年、クラス【ツヴァイ】の成績一番下のチャライケメン。
もはや、この二人が付き合えば生徒会長があんな落ち込む事は無いんじゃないか、的な事をボヤいていたクラスメートもいたが。
…正直言って、この二人の関係は"家族"のようなものだから、多分現実になる事はないだろう、と。
つまりは、こんな二人を見るのが大学になっても続くだろう…後5年間は、この光景を誰かが見ることになる、と。
………まぁ、この二人は良い意味でうるさいからいいか。
そろそろ"昼休み"が終わるチャイムが鳴る頃だ、と各々が机に授業の用意をし始めた……。