コメディ・ライト小説(新)
- Re: 男子校の生徒会長は今日も男子生徒に告られる ( No.4 )
- 日時: 2019/03/18 23:44
- 名前: Rey (ID: NvHaua1/)
三話 生徒会長、部活(戦闘)開始
キーンコーンカーンコーン………。
終学活というなの寝落ちタイムが終わった今、玲夜……いや、レイは寝起きの頭をフル回転させて、なんとか教材をバックに入れている真っ最中。
終学活に眠すぎて"ガコッ!"という鈍い音と共に机とキスする羽目になり、周りからクスクスと笑いが漏れ出たのは言うまでもない。
いくら生徒会長と言えど、それは推薦で気付けば生徒会長となっていた、要はハリボテの肩書きなので、担任の話を遮って意識を飛ばすことも珍しくはない。
授業はちゃんと受けているので成績は上位に入っているが、ホームルームを合わせて朝と放課後になると毎度猫のように眠りこけるのがここの生徒会長である。
正直、そんなものでいいのか、と物申したいが、それは置いといて。
この学園、"魔導"学園という事をお忘れになられているだろう。
ここまで魔法要素ゼロだったのだから無理もないが。
ちなみに、何故髪は黒や茶髪なのに目が現実離れしているのか、と思っただろうか。
…魔導学園というものがある時点で現実離れしているのは置いておいて。
この世界、人口の半分に潜在能力として"魔力"を宿している。
そして、その魔力は何種類も"属性"に分けられ。
【炎属性】【水属性】【風属性】【土属性】etc………。
細かく分ければ数十にも及ぶ魔力の性質。
そして、その性質の見分け方は"瞳"に反映される。
簡単に、【炎属性】であるならば瞳は赤色になるから陸は赤色だったし、【水属性】であるからレイは瞳が青い。
魔力の量も然り。
量が多ければ瞳の色は濃くなるし、少なければ薄くなる、と。
…魔法要素が少ないからねじ込んだこの世界のセオリー。
だが、レイの"部活"では、この魔法という概念がとても重要になる。
ーーーーリンドウ学園、体育館に隣接して造られている木造の建物。
入口の扉の上に【雪月花】と彫られた板が飾られた、"弓道部の部室"に、生徒会長は気怠けに、"魔弓"を担ぎながらその小屋へと足を運んだ。
ーーーー弓道部 魔弓科
このスポーツの名は【ツァオベライ・アロー】
魔術の矢、という名のこのスポーツ。
弓矢に魔力を込めて矢を放ち、どれだけ的を鮮やかに、華やかに、そして多く破壊するかを競うそのスポーツは。
多くの大会を開催させるほど、メジャーなスポーツとなっていた。
そんなメジャースポーツを部活とする魔弓科は、毎日の練習に励み、ここ【雪月花】に今日も元気な掛け声を響かせている。
「………はぁ……」
ーーーー唯一聞こえたため息の出所は、【雪月花】の隅…フローリングに魔弓を足に抱え込んで座っている、漆黒の髪…生徒会長ことレイからだった。
携える魔弓は中学から愛用する白銀の弓。
ところどころに散らばっている宝石のようなモノは、通称【魔導結晶】と呼ばれる鉱石である。
読んで字のごとく、魔力を宿すその鉱石は、自分の持つ魔力とは違う性質の魔法を使うために用いられる【魔導道具】の代表的なモノ。
このツァオベライ・アローにおいて、複数の魔法を使い華やかさを演出する為には必要不可欠な存在であり、また魔力を増幅させる意味でも重宝されている。
そんな魔導結晶をふんだんに使っているこの弓は、レイが初めてこの世界に踏み込んだ際に手に取った、いわば相棒のようなもの。
少なくとも魔導結晶はポンポン取れる鉱石では無いため、それなりに値は張るが、一生使う、という名目で奮発したものが、これだ。
ーーー【光波をも超える可能性】
レイが名付けた、この弓は。
質と量が"上"と診断されたレイの魔力を増幅させ、人の想像を、世界の常識をも変える奇跡を、という願いを込められた、この弓は。
ーーーー世界で一つしかない、レイだけの魔弓である。
「お?どーした高等部の生徒会長さんよ。ご機嫌ナナメかい?」
突如として視界が暗くなったと思いきや頭上から野太い声が聞こえる。
聴覚で伝えるその信号は…。
「…あ〜…先輩ですか……ま、そ〜ですね……また告白されまして」
この魔弓科の大学部に所属する、レイ直属の先輩の声だ。
「ガッハッハ!お前は本当に男にモテるなぁ!…っと、クヨクヨしてねぇでさっさと表に出ろい。お前さんのファンがウヨウヨだぜぃ?」
朗らかに笑うその先輩は、嫌味か皮肉か、それとも天然なのか。
レイの気分を更に悪くするファンというNGワードを吐き、疲れた〜と言いながら裏へと戻っていった。
…あぁ、打ち終わったのか。
先輩が終わり、そして自分が呼ばれた。
ーーーーつまるところ、自分の番が来たのだ、と。
レイは相棒に寄りかかりながら立ち上がり、ヨロヨロと力なく重い足を動かした。