コメディ・ライト小説(新)
- Re: 空飛ぶ島の冒険家 ( No.16 )
- 日時: 2019/03/31 21:33
- 名前: azuno* (ID: s00TEuml)
ミーニャ「今回の依頼は大会運営の手伝いよ!」
ゼロ「大会?何処の何の大会なんだ?」
ミーニャ「サンキエム島の武闘大会ですって。審判とかの人手が不足してる
みたいだから私たちはそのお手伝いね」
サンキエム島に到着し目的の大会が行われる競技場へやってきた。
十人十色で厳つい人もいれば細身の人もいる。
主催者「君たちがこの依頼を引き受けてくれた冒険家かね?すまないね
こんな依頼で感謝するよ」
ユニ「あ、いいえ」
主催者「そうだね…そっちの男の子は審判を手伝ってくれ。説明はこの紙に
まとめてある。そっちの女の子は選手の呼び出しとかを手伝ってくれ」
ゼロ「分かりました。じゃあ俺はこっちだから」
ユニ「うん頑張ろうねゼロ」
廊下を歩きながらユニはある人物を探して居た。
ユニ「ハイスって選手の部屋は…」
???「廊下の一番奥の部屋だ」
ユニ「え?」
顔を上げると青紫の髪の青年がユニを見ていた。ユニとゼロに選手の
一覧表が配られ写真もあった。確かフェイロンという選手だ。
フェイロン「大会の関係者じゃないな。ボランティアという奴か?」
ユニ「私は冒険家です。依頼で仕事を受けました」
フェイロン「成程な。ここには冒険家の武闘家もいる俺もアイツも
その一人だ」
そう言って彼は部屋に戻った。奥の部屋にノックし中に入った。すでに
構えていたのか栗色の髪の青年が近くに立っていた。
ハイス「お、まさか女子の関係者がいたなんてな。お呼び出しか?」
ユニ「あ、はい。次の試合なので準備をしてください」
ハイス「オーケー行くぜ」
- Re: 空飛ぶ島の冒険家 ( No.17 )
- 日時: 2019/03/31 22:19
- 名前: azuno* (ID: s00TEuml)
大会も順調に進んでいるようだ。ゼロもミーニャの目も借りて公平な
ジャッジをしている。
ミーニャ「順調ねゼロ」
ゼロ「そうだな。遅れることなく選手が登場してる辺りユニも順調みたいだ」
ミーニャ「さぁ私たちもジャンジャン審判するわよ!!」
ゼロは何かを感じたように辺りを見回す。その様子にミーニャは
ゼロの肩の上で首を傾げる。
ミーニャ「どうしたの?」
ゼロ「あ、いや…何でもない気のせいだったみたいだ」
ユニの周りに数人の厳つい男たちが立っていた。
ユニ「だ、ダメですよ!選手の事を色々話すのは!」
選手1「いいじゃねえか、少しぐらい」
選手2「そうそう教えてくれよ~でないと嬢ちゃん痛い思いするぜ」
ユニ「そ、それでも…ダメな物はダメです!!口が裂けても言いませんよ」
選手3「お、言ったなぁ!?」
全員が拳を振り上げたその時奥に立っていた男がドサリと倒れた。
ハイス「おぉ!フェイロンも来たのかよ」
フェイロン「うるさいから黙らせただけだ。そう言うお前は彼女に
良いところを見せようとしに来たのか」
ハイス「バーカ。女に寄ってたかってかかる奴らが気に入らねえだけだよ」
男たちは二人に瞬殺された。ユニは大きく深呼吸した。
ユニ「すみません二人とも。私ってばもっと頑張らんと…!」
ハイス「お前、他に仕事があるんなら急いだほうが良いぜ」
ユニ「あ、そうだった!!」
ユニは試合のトーナメント表を見て部屋へ急いだ。
フェイロン「(嫌な予感がするな…)」
- Re: 空飛ぶ島の冒険家 ( No.18 )
- 日時: 2019/03/31 22:38
- 名前: azuno* (ID: s00TEuml)
ランクスという男の控え室にやってきた。ノックをしても出てこないので
そっと扉を開け中を見る。
ユニ「(いない…お手洗い、かな?)」
ランクス「可愛らしい関係者だねぇ」
ユニ「わっ!?ら、ランクスさん、ですか?」
赤いフードを被った男ランクスはユニを見下ろす。右目の下には赤い
模様が描かれている。恐らく何かの術式だろう。
ユニ「あ、あの次の試合がもうすぐなので会場へ行ってください」
ランクス「そうか…そんな時間か。すまないね聖女さん」
ランクスは彼女の耳元で囁いた。背中を向け廊下から姿を消した。
確か名簿には盲目と書かれていたが杖が無くても歩いているのを
見ると視覚以外の感覚が飛びぬけて高いのだろう。そしてユニの事を
聖女と言った辺り黒曜教団の関係者か断片的な記憶意外に存在している
人物だろうか?
ユニ「(でも…悪い人には見えなかったなぁ)」
ゴスロリ姿の女はランクスの前に立つ。女の名前はエレアと言う。
エレア「貴方、聖女に私たちのことを教えてるようなものだって
分かってるわよね?」
ランクス「あぁ、わざと教えた」
エレア「質の悪い男…まぁいいわ。貴方は隙を作ってくれない?それが
契約なんだから」
ランクス「へいへい分かった」
ランクスは軽くそう返して競技場に立った。
- Re: 空飛ぶ島の冒険家 ( No.19 )
- 日時: 2019/04/01 12:20
- 名前: azuno* (ID: s00TEuml)
ミーニャ「ユニ~お疲れ!」
ユニ「うん、お疲れ様。二人とも」
昼休憩が入った。昼食を済ませたら再び仕事につかなければならない。
ゼロ「ユニ少し良いか?ランクスという男をマークしていて欲しい」
ユニ「…やっぱり何かと繋がってる気がしたんだよねぇ…分かった注意してみる」
ミーニャ「じゃあ午後も張り切っていくわよ!!」
休憩が終わり試合も再開された直後。
ミーニャ「ね、ねぇあの二人、様子可笑しくない?」
向かい合っている二人の男からどす黒い霧のようなモノが溢れる。それに
触れた瞬間ゼロも苦しみ出す。ミーニャの声も聞こえなくなるほど…。
黒の王『感じるだろう?この素晴らしい黒い魔力。お前の目を覚まさせるには
丁度いいだろう。あの聖女を殺せ、お前のその手で…』
ゼロ「殺さない…俺は彼女を殺さない!死なせない!!」
黒の王子『私も消滅させられたからなぁ白の大陸の王によって…だが後継した
者はお前以上に素晴らしい力を持っているぞ?守り切れるかな?花嫁を』
そんな声を振り切り自分に渇を入れゼロは立ち上がる。赤かった髪には
黒いメッシュが入った。その姿を見ていたエレアは目を見開く。
ランクス「ほぅ、あれが前の黒の王子さんか?」
エレア「ランクス…」
一方廊下を走るユニをハイスは引き留めた。
ハイス「オイ何が起きてるんだ!」
ユニ「多分魔獣です。黒曜教団が潜んでいたみたいで…今、私の仲間が
応戦してると思います!」
ハイス「だったら俺も行くぜ。人手は多い方がいいだろ?」
フェイロン「俺も手伝わせてもらう」
ユニは頷いた。
- Re: 空飛ぶ島の冒険家 ( No.20 )
- 日時: 2019/04/01 13:13
- 名前: azuno* (ID: s00TEuml)
ゼロのいる場所に辿り着き目を見開く。
ゼロ「がっ!?」
剣が床に刺さりゼロは床に転がる。ランクスはゼロを蹴り上げた脚を
降ろしゼロに歩み寄る。
ミーニャ「ぜ、ゼロ!しっかり!ちょっとアンタ、何するのよ!!」
ランクス「何って少し邪魔だったからな。気絶してもらおうと思っただけさ。
動物を虐げる趣味はないから大人しくしてろよ」
ランクスは脚を振り上げようとしたが身を屈めた。
ハイス「ちぇっ、やっぱり当たらねえか」
フェイロン「ここまで勝ち抜いている相手だ。不意打ちなどあまり通用
しない相手だろう」
ユニ「ゼロ、ミーニャ」
二人が顔を上げる。ユニは微笑んでゼロに手を貸す。
ユニ「助けに来たナウ!ってね」
全員の周りを魔獣たちが取り囲む。ユニたちの倍の数はいるだろう。
ハイス「人数がいれば勝てるってか?舐められたもんだぜ」
ユニ「ゼロ大丈夫?」
ゼロ「あぁ戦えない程じゃないから…行くぞ!」
ユニ「大地に眠りし救恤のリングよ、主の声を力を感じたのなら姿を現し
力を貸せ」
緑の救恤のリングはユニの指に嵌り光を放つ。ゼロの痛みも微かに残っていた
ハイスたちの疲れも消えていく。
フェイロン「疲れが…消えていく?」
ユニ「心身を癒す…それは慈愛のリングと同じだけど救恤のリングは
他にも一回だけダメージキャンセル能力を持つ」
ランクス「…」
溜息と共に煙が立ち上がる。ランクスが咥えていた煙草は床に落ちた。それを
ランクスは踏みつける。
- Re: 空飛ぶ島の冒険家 ( No.21 )
- 日時: 2019/04/01 13:47
- 名前: azuno* (ID: s00TEuml)
エレア「(まさかあの数をたった四人で片付けられちゃうなんてね‥)」
ユニの弓から放たれた矢は光を放ち床に刺さる。そこには赤や白、青などの
花が開き魔獣が消えていく。
ランクス「(腕の立つ射手がいれば前衛も問題なく戦えるか…)さてと…
ここからは俺が相手だ」
ハイス「じゃあ遠慮なく行かせてもらうぜ!!」
フェイロン「あ、オイ待て!」
ハイスが拳を引いた。鳩尾にランクスの蹴りが入る。距離を取る間もなく
連続蹴りを喰らいハイスがよろよろと後ろに下がる。
ユニ「多分視力が無い分、他で補ってるんだ。ここまで勝ってたのは
並外れた身体能力があるから…!」
ランクス「鋭いねぇ聖女さんは」
ランクスは右腕を横に伸ばし拳を握り後ろに引いた。ユニは最前線に立ち
白い結界を張る。拳が突き出された瞬間、拳圧で辺りの砂や机が吹き飛ぶ。
ピシッと結界に微かながら亀裂が走る。ランクスは息を吐き構えを解いた。
ランクス「誤解しないで欲しいんだが俺は無所属、冒険家でも無ければ
黒曜教団でもない。会えたらまた会おうぜ聖女さん?そっちの奴もその力
扱えるようにしておけよ」
フェイロン「逃げるのか?技を防がれたからと」
ランクス「気が失せただけさ。代償も大きかったが得た物はそれ以上に
大きくて良かったよ」
****
ミーニャ「なーんか変な感じだったわねぇ」
島に到着してから空を見上げながらミーニャは呟いた。
ユニ「でも退けられたならそれで良かったと思うけどね私は」
スペクター「何じゃ何じゃ皆して日向ぼっこか?」
ミーニャ「そうよ~」
スペクター「お主ら皆、猫じゃなぁ」