コメディ・ライト小説(新)

Re: 空飛ぶ島の冒険家 ( No.33 )
日時: 2019/04/04 13:51
名前: azuno* (ID: s00TEuml)

数万年前に遡る。黒の大陸と白の大陸、その間にプリーマ島は存在していた。
その島の住民は穏やかだった。それは統治者の聖女がそういう性格だから。
白の大陸の王ヘイムダルも度々聖女の元を訪れていた。
ヘイムダル「ユニどうしたんだい?」
ユニ「ヘイムダルさん…私、恋をしました」
黒のメッシュの白髪が揺れた。生まれて初めて彼女は異性に惚れた。
嬉しそうな顔がすぐにしぼんでしまった。
ヘイムダル「嬉しくないの?ユニ」
ユニ「その恋人は…黒の大陸の王の後継者である王子でして…」
ヘイムダル「君が好きだと言うのなら僕は何も言わないよ。僕は応援するさ」
サイファ「ユニ殿、王子がお見えになりました」
ユニは頷いた。彼女はヘイムダルの手を引く。ヘイムダルは彼女に連れられ
外に出た。赤いメッシュの黒髪をした少年が立っていた。黒の王とは
違う。落ち着いた少年だ。
ユニ「この人です。黒の王子様ゼロです」
ゼロ「初めまして白の王」
ヘイムダル「黒の王とは違い礼儀正しい子だ。王よりも君のほうが上に
立つ者としては有能だろう」
ヘイムダルは微笑む。穏やかな風はどことなく不穏な風も運んでいるようだ。

黒の大陸で黒の王はプリーマ島の存在を知った。そこを取れば白の大陸も
手は出せない。その島さえ人質に取れば島と仲の良い白の大陸は身動きが
取れないだろうと考えた。自身の後継者がその島の聖女と関係を持った
ことを彼は知っている。それを利用する。

Re: 空飛ぶ島の冒険家 ( No.34 )
日時: 2019/04/04 16:41
名前: azuno* (ID: s00TEuml)

白の大陸。
兵士「王!黒の大陸の襲撃です」
ヘイムダル「全員配置に、彼らを倒し大陸を守れ!」
黒の大陸の手はプリーマ島にも迫っていた。
サイファ「住民の避難、終了しました」
ユニ「ありがとう…!」
不穏な空気が辺りを包んでいた。遠方から二つの大陸が見える。
黒い闇が段々と白い光を侵食しているように見えた。
ゼロ「ユニ…」
ユニ「ゼロ!抜け出して大丈夫なの?」
ゼロ「あのまま言いなりになんかならない」
ユニの手をゼロは握った。サイファはその様子を見守っていた。
???「良いところ、すまないねぇ御二人さん」
黒い羽を持つ若い男は地面に降り二人を見た。サイファは警戒した。
???「警戒しなくてもいいよ?俺は選択させるだけ…俺はロキ、王子様なら
知ってるだろう?ずっと閉じ込められてたけど君の王って馬鹿だよねぇ。
俺の変身術すら見抜けないなんてさ…さてここで君たちには選んでもらう
このまま見ているか、黒の王共々一旦終わらせるか…後者なら俺が
もう一度お前らを出会わせてやるさ、もう一度やり直せるんだぜ」
ロキと名乗った男は両手を広げる。このまま黒の王の好きなように
させているぐらいなら…引き裂かれるぐらいなら…。ユニはある場所へ
向かって走り出す。遅れてゼロも彼女の後を追う。
ロキ「アンタは追わなくていいのか。聖女の従者だろ?」
サイファ「俺の身は全て彼女のためにある。彼女が再生を望み一度
破壊を選ぶなら俺も彼女と共に死ぬだけだ」
ロキ「思った以上に信頼されてる聖女様だな…」
大陸から島から光の筋が見える。ロキは羽を羽ばたかせ空へ逃げた。
ユニの声が聞こえたような気がした。聖女の最後の言葉は謝罪の言葉だった。