コメディ・ライト小説(新)

Re: 俺のメイドは龍神様!! ( No.22 )
日時: 2019/04/30 10:51
名前: 闇夜 (ID: QDgN7dji)
参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

第4章 最期


「「リリナ!」」
 カルラとアレンは同時に叫んだ。リリナの胸元からは赤い血が流れていた。
 血は流れていくうちに赤色から黒へと代わっていった。リリナは倒れる事もなくただ立ち止まっていた。
「ご主人様…怪我…は?」
「リリナっ……!俺のことは良い。それよりお前は大丈夫なのかよ!」
 アレンはふらふらとリリナに歩み寄る。リリナは軽く微笑んだ。
「はい…大丈夫ですよ」
 リリナはそう答えるが血が止まる事などは無かった。ただリリナの経っている所に血の溜りが出来た。
「正直に言いなさい…リリナ、長くないでしょ?」
 カルラは今でも泣きそうな声で言う。だがリリナは微笑を絶やさなかった。
「私の役目は…。皆様を守ることだけ…で…すよ?」
「ふざけるな!お前は幸せになるために生きてるんだろ?!」
 アレンは泣くのを堪えながらも叫ぶように言う。
「大丈夫です…よ。私は死んだり…しな…いので…」
 リリナの微笑みは段々と弱くなってきた。リリナはそっとアレンを優しく抱き締めた。
「本当かよ…お前の…鼓動弱くなってるじゃねぇかよ…」
 アレンは泣くのが耐えられず涙を流す。リリナは「泣かないで」といわんばかりの顔をして強く抱き締めた。
「大丈夫…ですよ…」
 リリナは目を軽く閉じた。アレンはリリナの肩を揺らすが、リリナは微笑んでばかりで喋ってくれなかった。
「面白いシーンごちそうさまでしたぁ~」
 ルーナは腹を抱えて笑いながらアレンとリリナを見た。
「黙りなさい!自意識過剰の猫が!?」
 カルラは怒鳴り散らすがルーナはそれでも笑いを止めようとはしなかった。
 アレンはリリナをそっと降ろすと自分のコートを脱ぎリリナにかけた。
「お前を八つ裂きにしないと気がすまない…」
 アレンはルーナに背を向けたまま呟いた。
「アハハハハハハハハハハハ!アレン良く聞きなさい!私を殺したいならば××の世界に来て私を探し、殺して見なさい!」
 ルーナは腹を抱えてまた笑いだした。アレンは目を赤くして太刀を持ち恐ろしいスピードで、ルーナに襲い掛かった。
「くだらない」
 腕で太刀の刃を受け止めた。この時、アレンは気付いた。
(普通の攻撃じゃ…こいつには効かない…ならば…)
アレンは一つのことに集中した。落ち着いて、冷静に、ルーナに一致させて…。
「反逆の意思!」
 その途端アレンの周りから無数の赤い魔方陣が表れた。そして、ルーナの所に黒の魔法人が現れルーナの動きを取れなくした。
「ちょ、何よこれ」
「…エンド」
 指を鳴らした瞬間、ルーナはその黒の魔方陣によって吸い込まれていった。そして、黒の魔方陣が消えた後その場に残されたのは、ルーナの写真であった。
 その写真に火をつけて、後始末をした。写真は塵になり、黒くなった。
「リリナ…」
 さっきの表情から一変しアレンはリリナに駆け寄った。胸元に深く刺さった矢の後が分かる。
 大量の出血は今でも収まらないまま床にポタポタと血溜りが出来た。
「リリナ……」
 涙が流れリリナの頬を濡らす。カルラも顔を手で覆った。




『ご主人様、今日は良い天気ですし何処か行くのですか?』
『そうだな…リリナ、一緒に出かけよう』
『え?良いのですか?』
『嗚呼、勿論だ。行こう』
『ご主人様!ありがとうございます』




 リリナとの楽しい思い出。あの日、始めて出かけた時が一番楽しかった。今となればその思い出が心を締め付ける思い出。
「ごめんな…」
 そうアレンが呟くと、リリナの傷口に一粒の涙が垂れた。
 その時であった。リリナの傷口が光によって消えていった。その光景をカルラは目を見開いてみていた。
「…龍神」