コメディ・ライト小説(新)

Re: うちのクラスには魔王がいる ( No.1 )
日時: 2019/06/02 12:44
名前: 塩鮭☆ユーリ (ID: 7/pkw8b6)
参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

☆『麻尾宇くんとツッコミ龍』01




 俺の名前は水野龍太。
 平々凡々を絵にかいたような中学生だ。
 自分で言うのも悲しいけれど、影が薄いわけじゃないのに、別に俺がいなくてもなんら支障のない感じのありふれた人間だ。

 ……なぜ、わざわざ人間だと主張したのかというと、俺の通う鮪中学校の二年B組には、つまりうちのクラスには、『魔王』がいるからだ。

 中二病だと笑いたければ笑えばいい。

 だが、あいつは魔王なんだ。運悪く出席番号が近かったため、悲しいことに席が隣になってしまった『麻尾宇 円土』は、間違いなく魔王なのだ。

 本人がそう主張しているのもあるが、麻尾宇の外見がこれでもかというほどに魔王らしい。

 にょきりとはえた魔王っぽい二本のツノ、漆黒のマント、血に汚れた剣に血の気のない白い顔、ぎらぎらした瞳……。
 どこをとっても魔王要素がちりばめられている。

 麻尾宇は怖いしうるさいし、迷惑の塊みたいなやつだ。そんなやつと顔をあわせなくちゃいけないというのが、俺にはものすごく嫌だった。

「いってらっしゃーい」

 だが、朝は来る。
 俺は重い足どりで鮪中学校までとぼとぼと歩くことにした。背中のリュックがずんと重く感じる。

「偶然会ったな、……クラスメイトA」

 クラスメイトAってなんだよ、隣の席の奴くらい覚えとけよ!……というツッコミはギリギリで抑える。
 顔だけ覚えていてくれたらしい。
 同じく徒歩登校の麻尾宇に会ってしまった。

「あぁ、おはよう」