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☆麻尾宇くんとツッコミ龍　03




「名乗るのが嫌だというなら、我が特別に名前をつけてやろう」

　……え。
　俺、もういっこ名前を持つことになるの？
　魔王が名付け親というにはそれはそれでなかなかカッコいいことではあるが。

「魔王を狩る者とかどうだ？」

　……名前っていうか、二つ名だね。
　しかもなんか、聞いてるとかゆくなるタイプの。中二病感溢れる感じの。

「却下」

　俺がバサリと切り捨てると、麻尾宇くんは悔しそうに顔をゆがめる。つい却下なんて言ってしまったが、食われる心配はしなくてもいいようだ。安心した。

「それならなんと呼べばいいのだ！？お主が名前を名乗らぬ限り、我はお主を魔王を狩る者と呼ぶぞ！？」

　それは……恥ずかしい。
　ありとあらゆるところでそんな中二病めいた名前を口にされてはたまらない。

　それよりはまだ、名前を名乗る方がマシだ。
　そうだよ。
　友達へ一歩前進したって、友達になっちゃうわけじゃない。そもそも、名乗るくらい普通のことだ。

　そうだよ。
　漫画とかでもあるじゃん、殺しあいの最後にお互い名乗りあうみたいなやつ！だから、名乗ったからって大丈夫なんだよ！

　……よし。
　自分を頑張って励ますと、俺は魔王に名前を告げた。

「俺の名前は水野龍太」