コメディ・ライト小説(新)
- Re: うちのクラスには魔王がいる ( No.11 )
- 日時: 2019/06/04 21:45
- 名前: 塩鮭☆ユーリ (ID: 7/pkw8b6)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
☆麻尾宇くんは友達になりたい 02
「……」
俺が一ノ瀬と話していると、隣で麻尾宇が一ノ瀬をきつめに睨んでいることに気づいた。
「どうしたんだ、麻尾宇」
俺の中にあった麻尾宇への恐れは今朝の少しの時間ですっかり消えてしまっていた。普通にツッコミをいれられる自信がある。もっとも、俺にとってツッコミは義務みたいなものなので、それを指差して「仲良しだなー」とか言われると呪いたくなるのでそこのところよろしく。
……しかし、麻尾宇が人を睨むのは珍しいことだ。
数学の宿題を睨んでいる様子はよく見かけるが、人を睨むというにはなかなか見ない。
実は良い奴とかそういうことではなく、単に周囲を自分と同格だと思っていないだけで、睨む価値を見いだしていないからだと、俺は解釈していた。
石ころに向かって睨む奴はいないだろう。
それと同じだ。解釈がぶっとびすぎだと思われるかもしれないが、それが俺の麻尾宇に対するイメージなので仕方ない……と、思う。
「僕の顔に何かついてるかな?」
気をきかせた一ノ瀬の質問に、麻尾宇は犬歯ののぞく口を開いた。
「……お前、どこかで見たことある……気がする。我の中の危険信号が明滅しておる」
……それって。
ほら、ファンタジーな物語でよくある、魔王と勇者の感じみたいに、麻尾宇が魔王で一ノ瀬が勇者というオチなのではないだろうか。
一ノ瀬は勇者のイメージにぴったりくるし、きっとそれだろう。
俺が一人納得していると、一ノ瀬が困惑顔で助けを求めてきた。
それを受け、俺はただでさえ図体がでかいせいで邪魔になっていた麻尾宇を席につくよう促す。
俺だって中学二年生である。
自分のペット扱いに納得はできなくとも、勇者や魔王と聞いて少なからず胸を踊らせるものがある。
今後の展開が気になった。
……自分が巻き込まれなければいいが。