コメディ・ライト小説(新)

Re: うちのクラスには魔王がいる ( No.12 )
日時: 2019/06/06 21:30
名前: 塩鮭☆ユーリ (ID: 7/pkw8b6)
参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

☆麻尾宇くんは友達になりたい 03




 始業のチャイムと同時に担任の先生が入ってくる。ここまで時間に正確な先生も珍しいもので、基本的にマイペースで時間にルーズな麻尾宇とは相性が悪いらしい我がクラスの担任ーー。

「席につけ。日直、朝の会を始めろ」

 くいっと眼鏡に手をそえて、指示を飛ばす栗原先生に、大慌てで日直が朝の会を始める。
 栗原先生は、冗談もあまり通じないしこんな感じだから、生徒からの評判はよろしくない。

 日直がつらつらと朝の会を始める中、俺はちらりと隣を見た。珍しいことに俺から麻尾宇を見たのだ。

 それというのも、麻尾宇がさっきからそわそわとしているからで、どうしたのだと聞きたくなったのだ。
 言い忘れたが俺はこれでも保険委員をしている。麻尾宇の具合が悪いのなら保健室に連れていくのは俺の役目だ。

 つまりは一時間目の栗原先生の数学をサボれるかもしれないとあって、積極的だった。

 しかし麻尾宇はふいにそのそわそわをやめた。
 どうしたのかと顔色をうかがってみれば。

「……」

 今にも絶望のあまり地獄におっこちそうな顔をしていた。

 なまじ美形なだけに、周囲の空気が哀愁ただようものになっている。

 朝の会が終わり、俺は数学の準備をしようとする。くい、と袖をひっぱられた。


「数学の宿題が消えたようだ」

 そうか。忘れたんだな。

「これは我の命の危機……未だ勇者にさえ会っていないというのにここで我が消えてはいけない」

 いくら栗原先生でも殺しはしないと思うよ?
 あの先生、よくも悪くも公平だから。

「そこでだウォータードラゴン」

「俺はウォータードラゴンではない」

「そんなことはどうでもいい」

 よくない。全くよくない。

「我は奥の手を持っている。しかし、それにはお主の力が必要不可欠」

 ……えぇー。
 巻き込むなよ。

「その奥の手の名を……『仮病』という」