コメディ・ライト小説(新)

Re: うちのクラスには魔王がいる ( No.18 )
日時: 2019/06/16 10:03
名前: 塩鮭☆ユーリ (ID: 7/pkw8b6)
参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

☆昔話をしようか 01




「リュウタ、空は気持ちいーなぁ」

 心地良さそうに俺の背中で魔王が目を細める。だろ、と俺は自慢したくてさらに上へと羽ばたいた。小さくなる地面にはちっぽけな魔王城が見える。

 ていうかちっさ!魔王城ちっさ!

 今頃、チノたち魔王の従者は必死で主を探しているだろう。
 その様子が容易に想像できて笑ってしまう。

 ーーその瞬間。



「覚悟っ」

 視界が赤に染まる。
 何事かと驚き、周囲を確認する。赤いドラゴンと目が合った。。赤いドラゴンの主人らしい人物が俺に飛び乗ったのを感じ、俺の上に乗っている魔王に危害を与えようとしているのがわかって戦慄が走る。

 ーーくそっ!

 俺の上で何かされたら確認できないだろっ!

 ーーザクリ。

 俺の上から聞こえてきた絶望的な音に最悪の状況を予想して奥歯を強く噛んだ。そうでもしないと、もうすでに冷静さを欠いた俺は暴走する。

 ひゅうううっ……。
 魔王が俺の横をまっ逆さまに落下している。
 不意討ちされたらしく、怪我をしているのがちらり見えた。

 こんなことなら、高いところになんて上らなければよかったっ!
 魔王が死にやすいとこまで運んできたようなものじゃないかっ!

「っ」

 助けようと、急降下をかけるが、赤いドラゴンとその主が邪魔をしてくる。嫌になってそちらを睨んだ。
 意外なことに、赤いドラゴンに乗っていたのは女だった。
 しかも、かなり若い。ふわりと巻き上がる茶髪に翡翠色の瞳が俺をとらえる。見事な指示で絶対的に俺を邪魔してくる。

 ーーこれ以上は、本当に魔王が死ぬ。

 覚悟を決め、俺は容赦なく武器を振るう少女のところに突っ込んだ。

 それは一瞬の出来事で、鋭い痛みが伴った。翼は切り裂かれ、一目でもう飛べないことがわかった。それでも、まるで寿命を縮めようとするかのように体の角度を調整して降下していく。

 恐怖はなかった。

「魔王っーー」

 追い付いた魔王を自分の体の中に包み、そのまま降下する。地面がすぐそこまでせまっていることは知っていた。

「リュウタ」

 最後に、弱々しい声が聞こえた。
 そっと見てみると、俺が大好きだった子供っぽい笑みを浮かべた魔王が俺の腕の中にいた。

 直後ーー。







「はっ」

 保健室には夕方のオレンジ色の光が入り込んでいた。
 俺は、麻尾宇の側で眠り込んでいたらしい。寒くないように毛布がかけられていた。見れば、麻尾宇もすやすやと眠っている。

「仲良しだね」

 保健室の先生が悪戯っぽく笑っていた。