コメディ・ライト小説(新)

Re: うちのクラスには魔王がいる ( No.8 )
日時: 2019/06/04 21:20
名前: 塩鮭☆ユーリ (ID: 7/pkw8b6)
参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

☆麻尾宇くんは友達になりたい 01




 なんとか学校まで連れてくることができた。俺はほっとして、校門前で麻尾宇を離す。
 どすん、と音がした。
 すっかり俺にもたれていたのだろう麻尾宇は、勢い余ってすっ転んだようだった。

 ……。

 いい加減にしてくれ。

 女子の視線が痛い。顔の整った麻尾宇はなにげに女子からの人気を集めているようで、俺はというと平々凡々な顔つきだった。この学校で生きていたくば麻尾宇に嫌がらせはしないほうがいいのだろう。

 仕方なしに助け起こすと、麻尾宇はなぜか拗ねていた。

「なぜ我を捨てた。教室まで運べ」

 ……やだよ。重いし。

「それとも、我が主なのは嫌だというのか?ウォータードラゴンよ」

 まだ俺がウォータードラゴンだとか言ってるのか。

「ふざけたこと言ってないでさっさと立つ!しゃんとして歩け!魔王だろ!」

 その途端、麻尾宇はすっくと立ち上がって歩き始めた。まだ嫌々といった感じはするが「魔王だろ」が効いたらしい。今度困ったことがあればまた言ってみよう。

 そう考えながら学校に入り、教室のドアを開けた。

「おう、龍太おはよ」

 俺の親友であり、麻尾宇と双璧をなすクラスのイケメン男子、一ノ瀬仁が爽やかな笑顔と共にご登場だった。一ノ瀬仁。成績優秀、スポーツ万能、見ての通りイケメンでありながら、それを自慢するようなこともない。女子からも男子からも好かれている。
 ここまで完璧だと羨ましいを通り越して届かぬ存在になっている。

 こんなやつが本当にいるのかと目を疑ってしまうレベルの人間なのだ。

「今日は麻尾宇と一緒に来たんだな。珍しい」

 そうだな。
 もう二度とこんなことがないことを願うよ。