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コメディ・ライト小説(新)
- 雪融けに君乞えば。 ( No.4 )
- 日時: 2019/12/03 17:13
- 名前: 朱代 玄々 (ID: Mu5Txw/v)
第一夜 雪の結晶に映る影。
夜に降り始めた雪。
音は無に等しく静かに地に降りていく。
人々が歩いたりしているからか窓から見えたのは、剥げたように何も生えていない。
獣道ではないが、それに近いものがあり綺麗とはお世辞にも云えないものだった。
夜だから余計に。そう思うのかも知れない。暗い何処までも暗い其処だけぱっくり割れた深淵のように。
だから、真っ白な雪は映える。ふわふわしている綿みたいに軽くて綺麗だ。
寒いけれど、綺麗な空からの贈り物。積もる様をずっと見ていたい。出来るなら、ずっと起きていたい。
静寂なまでに自分の吐息、耳を澄ませば家族の寝息しか聞こえない。
この時だけ、自分しか居ないような感覚になる。この時だけ自分だけ世界に切り取られたようで。この時だけ自分だけがこの景色を独り占めしているそんな特別な気持ちになる。
「わたのようにかるくって、花のようにキレイで、てんしにも見えて」
雪に、心を奪われていた。
きゅうっと心臓が締め付けられるように苦しい。
けれど、ドキドキしていて何時もより早い鼓動に死ぬんではないか。と思っていた。
幼い頃。否、今も雪の降るこの季節が好きで、雪も勿論、今も好きだ。
だから、だろうか。雪女の噂を耳にした時はそう凄く嬉しかった。
雪の精霊が人の姿になっている。雪を操る人ならざる者が居る。それはしんじ
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