コメディ・ライト小説(新)

Re: 未定 ( No.10 )
日時: 2020/02/23 22:13
名前: 朱代 玄々 ◆nI0A1IA1oU (ID: jtELVqQb)

とり忘れました。
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 --雨が絶えまなく降り続け、地面を濡らしていく。

 地上では雨を凌ぐレインコート。様々な色の傘を広げ家路に急ぐ者。仕事に行く者。遊びに行く者であふれている。

 高層ビルと高層ビルが立ち上る街中を平等に雨は濡らす。

 --この瞬間だけは皆平等に雨に濡れ、触れて、見る事が出来る。

 天の恵みと呼ばれている雨と傘を差している人々を屋上から見ている青年が居た。

「花みたいだ......」

 柵を越えて下を見下ろす形で眺めながら、ぽつりと呟く。コンクリで固められたアスファルトには咲かない花や草木..灰色で、色と云う色がない地上に傘と云う花が咲いた。

 屋上から見た景色。この景色は......こんなにも綺麗と思えるのに、な。と先程よりも大きい声で言うなり、かしゃんと柵に体が触れる音がきしみ始めてやがて、音が止む

 青年はしばし花と比喩ひゆした傘のれを見飽みあきたのか柵に寄り掛かると今度は空を見上げた。

 --携帯は......溝に棄てた。これでもう何も無いだ、ろ? 俺の手元には 

 確認するように空に何も持っていない手をかざす動作を何度も何度も繰り返す。

 以前にも、この青年は同じ事をこの屋上でやっていた。だが、あの時とは違い日の光がない雨雲がただよい今だに止まない雨が容赦ようしゃなくらし続けていた。

「..........」

 --期待していたんだ。俺は誰かが来るのを。誰も、俺を期待してない事は最初っから分かっていた。
 
 口に出すと虚しくなるのは知っていても、青年は口を開き、言の葉を紡ぎ始める。確かに居るのだと訴えるように、青年は確認していた行為を止め、片手を柵に食い込むほど掴み、ギギィと鈍く軋む音を上げ続ける最中さなか

「それでも......望みたいって期待したって良いだろ?俺だって......」

 弱々しく雨音にも消される声音だが、紡ぐ言葉ははっきりと

「お前らと同じ人間なんだからよ......」

 確かに青年が此処に存在している事を伝えていた。この直後彼は、フェンスを乗り越えて屋上から飛び降りる何の躊躇ためらいもなく

 否。青年は生きている間、散散さんざん躊躇った。散散悩み苦しんだ。もう青年は限界だった、もう生きてられないと生きていても楽しくないと生きていても生きてなくってもどうせ変わらないと。

 
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