コメディ・ライト小説(新)

それでも彼らは「愛」を知る。 ( No.58 )
日時: 2021/01/25 01:31
名前: 猫まんまステーキ (ID: vk7qW9BI)


  -ある夜のルカとミラ-

 「やっほー」
 「‥ルカ?どうしたの、こんな夜遅い時間に」
 「ちょっと起きちゃった‥ミラは見回り?」
 「そう。龍司様は結界が張ってあるから頻繁に行わなくていいっていってくださるけど‥でもつい、ね。それにやっぱり昼間より夜の方が動きやすい」
 「吸血鬼だもんね。そりゃあ夜の方が力も出やすいよねー」
 「そう‥最近は力を付けるために昼間も働くことが多いけど‥落ち着くのは夜の方……でも昼間のほうが、好き‥かも」
 「私たちも起きてるし?」
 「ルカ」
 「あはは、ごめん」
 「――まぁでも、それも少しは……あるかも」
 「……」
 「なによ」
 「いや、何も」
 「何もっていうならそのにやけ顔やめて」
 「ふふ」
 「もう……」
 「ミラも変わったよね」
 「昔よりもよく感情を出してくれるようになった」
 「……」
 「ちょっと、何その顔。まぁでも私はそんなミラも好きだよ!」
 「うるさいよルカ。皆起きちゃうでしょ」
 「あぁ、そっか‥でも事実でしょ?」
 「‥そうかな」
 「そうだよー!ミラが何考えているのかわかりやすくなったもん!」
 「ルカは長くいるからそう感じるだけだよ」
 「えー絶対そうだと思ったんだけどなぁ‥」

 「――‥わかりやすくなったかどうかは別として、でも確かにちょっと変わったところはある、かも」
 「えーなになに!?」
 「‥ちょっと前向きになった、とか‥」
 「前向き?」
 「……自分が吸血鬼でも、いいのかなって‥」
 「……それは誰のおかげで?」
 「‥わかってるくせに」
 「あはは、ごめん」
 「たまにルカは、いじわる」
 「ごめんって!!――それにしても、随分にぎやかになったねぇ」
 「‥うん」
 「始めは人間の、しかも勇者がきたなんて聞いたからどうしようって思ったけど」
 「あぁ、ルカもそんなこと思ったんだ」
 「失礼な!――でも、拍子抜けするくらい温かかったよね」
 「‥うん」
 「温かくて優しくて、ちょっと流されやすくてかなりお人好しで―――このまま私達を殺すことなく過ごせたらいいのに」
 「……うん。そうなったら、きっと多分、ずっと幸せに暮らせるね」
 「勇者は戦うよりも‥千代様とお茶をして、龍司様と体力づくりをして、私達と楽しく遊んで、穂積といろいろな話をして、宮司様と楽しく口喧嘩をしている姿の方が似合うよ」
 「そうね……私もそう思う」
 


     番外編『真夜中最前線』




 「そういえば龍司様と宮司様、まだ多分起きてる」
 「えっ!そうなの?何で!」
 「さっき部屋の前を通ったら唸っている龍司様と小言を話す宮司様の声が聞こえた」
 「あはっ!きっとまたお仕事が行き詰っているんだ!お夜食でも出しちゃう?」
 「‥賛成」