コメディ・ライト小説(新)

それでも彼らは「愛」を知る。 ( No.9 )
日時: 2019/10/13 18:42
名前: 猫まんまステーキ (ID: rFnjVhnm)


「じゃあ改めて私も自己紹介しようかしら。私の名前は千代。よろしくね~」

「はぁ…」


Episode2『勇者と弟』

「ちなみに千代と俺は結婚というのをしている!」
「そこはちょっと人間の形式にのっとってみたのよね」
「俺たちは夫婦!いわば番同士なわけだ!」

「はぁ‥」

「で、そこにいる愛想が悪いのが宮司。俺の弟だ」
「‥‥」
「あとこの屋敷に3人ほどいるが――まぁそのうち会えるだろう!ひとまずこの部屋をお前に貸してやるから好きに使うといい。あ、鍛錬ならいつでもつきやってやるぞ!」
「…えっと、」


わからん。何がどうしてそうなったのかまったくもって理解不能だ。


「くだらない。俺は戻ります」
「あっおいちょっと宮司!!――ったく、あいつはなんでああも頭でっかちなんだ」
「まぁまぁ」


そして知らない間に宮司とかいう男は部屋を出ていってしまった。


「まぁ、勇者ちゃんも長旅だっただろうし突然の事で困惑していると思うからしばらく一人にしてあげたら?」
「む、それもそうだな!じゃぁまた来るぞ!この屋敷も好きなように見て回ってもいいからな!」

じゃぁ!といって二人は出ていいた。

「なんだったんだ‥」

まるで嵐が過ぎ去ったような静けさを残し、部屋の中で一人、辺りを見回した。


「とりあえず、あたしは生きている‥?」

信じがたい状況にまだ夢の中にいるみたいだった。


部屋をうろうろしていると自分が持ってきた装備も置いてあった。

「本当になんなんだ‥この屋敷も、人も」


戸惑うことばかりだ。それだけここの人たちはあたしのことを『その程度』の人間だと思ったのか。


――‥考えても答えは出てこない。

「そういえば、あの魔王はこの屋敷を好きに見ていいと言っていたな‥」


これが吉と出るか凶と出るか。


あたしは扉を開け、この屋敷を探索することにした。


◇◇◇



「‥‥やっぱ広いなぁ‥どれだけあるんだ‥‥」

廊下だけでも人が3人は横になっては寝れるだろうという広さ。
ところどころに飾られた花や調度品がこの屋敷のすごさを物語っている気がする。



「‥‥あ、」


ばったりと、会った。えっと確か名前は――


「‥宮司‥」
「気安く名前を呼ばないでください。人間が」

まただ。ぎろりと睨まれた目には見おぼえがある。


「この屋敷に人間が入ってきたというだけでも不愉快なのにその上目の前をうろちょろされてはさらに胸が悪くなる」
「なっ‥そこまで言わなくてもいいだろ!?あたしお前にまだ何も――」
「まだ、ですか。兄さんはああいってたけど俺はまだあんたを受け入れたつもりはない――ここで仲良しごっこをするならとっとと帰るか俺らに殺されるか野垂れ死なれた方がマシだ」
「――――っ!!!!」


何だこいつは。さっきから黙って聞いてればぺらぺらと。

「‥ああそうですか。あたしだって早くお前らなんか倒して自分の村に帰るよ」
「どうぞ、やれるものならやってみてください」

にやりと人を小ばかにしたように笑うその顔にさらにいら立ちを募らせながら宮司の横を通り過ぎた。


この屋敷に来てから感情の起伏が激しい。