コメディ・ライト小説(新)
- Re: ☆星の子☆ コメントください。 ( No.103 )
- 日時: 2012/04/01 21:00
- 名前: (朱雀*@).゜. ◆Z7bFAH4/cw (ID: /.e96SVN)
5章 38話「金色の鳥と空」
風がビュンビュンなっている。その風音を聞きながら私は感嘆の声を上げた。
「光聖君すごい! 前からずっと空を飛んでみたいと思っていたんだぁ。」
今私は、金色の鳥になった光聖君の背にまたがっている。鳥の全長は約3メートルくらいあるだろうか。ものすごく大きい鳥に変身して、光聖君はぐんぐんスピードを上げていった。
風よりも速く、空を飛んでいる……。
その優越感にも似た爽快感で私は胸がいっぱいになった。
街ゆく人たちは誰も私達に目を留めない。何故ならば、何かが通り過ぎたと思って上を見ても、その頃にはとっくに飛び過ぎているからだ。
風で髪がなびいて気持ちよく、この暖かい季節には丁度いい。肌寒いといってもいいくらいだ。
たまにツバメの横を通り過ぎる。ピッと鳴いて後ろに下がり怖気づく鳥たちがとっても可愛かった。
私はふいに腕時計で時刻を確認した。1時35分。5分も遅れてしまっている。心の中でなっちゃんと佐藤君に謝って、下を見た。。映画館はどこだろうか?
「怖っ……」
私は下を覗いたとたん吐きそうになった。後悔の念が猛烈に襲う。もう地上から数百メートルは離れているだろか。
そんな私の気配を感じて、光聖君は優しく言った。
「空は背中におとなしく座っていて。僕が確かめる。」
私は言葉通り、おとなしく座った。もう二度と下は見ない。
そこで光聖君が何かを見つけたように急降下した。空を滑空しながら私は声を弾ませた。
「見つけたんだね!?」
私は風の音に負けないくらいの声で叫ぶ。
光聖君は小さく顎を引くと空き地に向かって飛んだ。
間もなく空き地に着いた。流石に映画館の前では目立つと思ったのだろう。
「よし、ダッシュだ!」
13歳の男の子に戻った光聖君は空の手を引き、名の通りダッシュした。