コメディ・ライト小説(新)
- Re: ☆星の子☆ コメントください。 ( No.114 )
- 日時: 2016/08/12 11:04
- 名前: (朱雀*@).゜. ◆Z7bFAH4/cw (ID: /FmWkVBR)
5章 40話「フルーツ」
ピンクの屋根に白い壁。そして看板にはお店の名前を綴っている。そんな喫茶店はいかにも女子が好みそうなオーラを醸し出していた。
中もお洒落で、白い壁に茶色い床。テーブルは木材で出来ていてインテリアっぽい。私は場違いではないのだろうかと思うほど、大人っぽかった。
お客さんは皆若い子で、女子高生もいればカップルもいて、それはそれは賑やかだった。
「いらっしゃいませ〜」
若い店員さんがニッコリ笑ってメニューを差し出した。奥の方からほのかな香りが漂って、いまにもなってしまいそうなお腹をぐっとこらえる。クラスメート同士だと言えど、今日はデートなのだから。
私と打って変わって光聖君は幼さ全開だった。今にもよだれが垂れそうな勢いで、メニューリストを穴があくほど見つめ人より倍以上決めるのが遅かった挙句、超定番のチョコレートパフェ。あんなに決めるのに時間がかかってたのだから、うんとおいしいのを選ぶと思ったのに……。
と、他にも補充説明。
私はストロベリーパフェで、なっちゃんはマンゴーパフェ。佐藤君はフルーツパフェを頼んだ。しかし運ばれてきたデザートを見るとチョコレートパフェが一番おいしそうだったので、私が悔しくなったのは言うまでもない。
「いただきまーす!」
皆で声をそろえて言ったあと、私はスプーンに一口分とっておそるおそる口に運んだ。実を言うとストロベリーパフェを食べるのは今日が初だ。口に一口含んだとたん、思わず笑みが零れた。
美味しい!
ストロベリーの酸味と生クリームの甘味が絶妙にマッチして、そこにヨーグルトとコーンフレーク、バニラアイスだ。美味しいとしか言いようがない。
誰の表情を見ても美味しそうにしている。光聖君なんかもう食べきっちゃいそうだ。ちょ、口に生クリームがついてるってば! あ……。
そんな時目に入ったのは、なっちゃんが光聖君の口を拭いている姿だった。
いや、別に気にすることでもないじゃない。光聖君となっちゃんが仲良くするのは。
……でも、なんだろう。切ない……?
私は暫くパフェを食べるのも忘れ、スプーンを持った手が宙に浮いたまま2人を凝視していた。
「天野さん?」
佐藤君に名前を呼ばれふっと我に帰った。急いでさっきの光景を振り払い、「何?」と笑顔を作って訪ねた。でも……やっぱり笑顔がわざとらしかったかな? 佐藤君はなおも心配そうな顔をして「何でもないよ」と首を振った。
そしてなっちゃんと光聖君が2人で盛り上がっているところ、私はまた黙々とパフェを食べていたら、佐藤君が唐突にこちらに身を乗り出す。
「このパフェも美味しいよ」
そして彼の持っていたスプーンでパフェを掬うと、私の口へ近づける。
えっ……!?
思考が停止して何も考えられなくなってしまった。気づいた時、私の口の中には甘酸っぱいフルーツの味が広がっていた。