コメディ・ライト小説(新)

Re: ☆星の子☆  祝! 100話突破記念〜短編3本立て〜 ( No.533 )
日時: 2012/11/23 12:05
名前: (朱雀*@).゜. ◆Z7bFAH4/cw (ID: Uc2gDK.7)

南軍 空中 ウル――

 俺達は戦い続けた。遠距離で赤と青の火の玉を投げつけ攻撃し、またある時は拳や蹴りで応戦する。それに対してジオは華麗にかわし、思い出したように突然空に黒い雲を出現させ、稲妻で俺達を苦しませた。勿論傷を癒す事も忘れない。
 くそっ……雷を自在に操れて、自己再生も出来るなんてセコすぎるだろ……!
 俺達も互角にやり合ってはいるものの、強敵なだけに体力の消耗が激しい。一方執事もどき野郎は、疲れとかそういう物が一切無いらしくピンピンしてる。そんでもって不死身ときた。
 こりゃあ本気でやばいな……。
 俺は青い火の玉を投げつけ舌打ちする。
 ジジイ達は一体なにをしているんだ? 本拠地でのさっきの爆発……援軍も遅れないくらい酷い状況なのかよ!?

「レオ! 繋がったか!?」
「いや、まだだ……何度も“思念”を飛ばしているんだが……くそっ! これだから老いぼれジジイは!」

 レオは再度“思念”と飛ばし悪態をついた。ちなみに“思念”というのは自分の意思や言葉を相手に伝えられる一つの技だ。しかし互いの脳波を知る者しか出来ない高度な技術なので、使える者も限られる。反乱軍で言うと空ちゃん以外の東西南北リーダーは皆、戦争時にこれを使い、状況を把握したり情報交換をしている。ジジイとグロさんはこれでいつも会話をしているらしい。
 その時、突然ブツッと音が飛んだような雑音が聞こえた。同時にレオが目を見開き、歓喜の声を上げる。

「繋がった!」
「よっしゃ!」

 俺も“思念”を本拠地の方へ送る。すると脳内に懐かしい砂嵐のようなノイズ音が流れ込んできたので、俺はじっと様子を窺っているジオに構わず宙へ拳を突き上げた。

『誰が老いぼれジジイじゃ、こら。』
「聞こえていたのか……」

 レオと俺は顔を合わせて苦笑した。ようやく体の力が少し抜けた気がする。
 そして口を噤み表情を硬くして、心の中でガルに今の状況を伝えた。『他の戦員は?』と問われたので、ジオに最新の注意を払いながら周囲を見渡す。
 少し離れた所に二匹の黒い犬と南軍はいた。しかしその空の上で様々な色の火の粉が散りゆくのを見て、俺は背筋が凍る思いがする。ざっと南軍の残った戦印を目で追ってみたところ、最初の三分の一にも満たない。その上、敵の犬はまだ二匹残っていた。

「くそっ……こっちに集中して南軍の事が頭になかった……!」

 俺は歯を食いしばって歯軋りした。
 家族が待っている奴らも大勢いたのに! 皆にどんな面下げて会いに行けってんだ……!?
 レオも頭を垂れて悔しげに顔を歪ませる。

「俺達、司令官失格じゃねえか……!」

 と、急に頭上をどんよりとした雲が覆った。
 それに気付いたときにはもう遅く、稲妻が一閃、雷が俺達の体を貫く。

「「ぐあっ!?」」
「君達、俺を忘れないでくれよ。楽しませてくれるんだろう?」

 そう言ってジオが不吉な笑みを浮かべ、最後の止めを刺すべく近づいてきた。
 俺はというと完全に紫電を直撃し、体中感電して痺れてしまったのかあまり身動きが取れない。目の前もチカチカして、立ち上がるのがやっとだった。
 やばい――――!