コメディ・ライト小説(新)

Re: high club ( No.3 )
日時: 2019/11/17 18:42
名前: 実飴 (ID: D.48ZWS.)

2話


  ダダタタダダダ…

「またか…。」

 机に溢れる教科書がまた雪崩を起こした。視界の端には、不満そうにうつ伏せになる生徒
そして、無邪気に走り回る生徒。本当にカッコ悪い。机の1番上にある数学の教科書が、晴色の光で自己主張している。はぁ…。こんな学校で大丈夫な…

「ごめんちょっと良い?」

「えっ、あっ、どうしたの!?」

 ビックリした。急に声をかけられたからじゃなくて。何か…茶色掛かったサラサラな髪。
端の方は少し伸びている。鮮やかな瞳は見る人を吸い付ける様。今まで…今までこんな気持ちになった事なかったのに、急に胸が高鳴る。

「あのさぁ、ちょっと宿題見せてくれないかな?昨日ノート学校に置いて来ちゃってさ。」

「それって算数の宿題?」

「頼む!お礼は弾むから!」

 真剣そうに頼む顔は、ちょっと可愛い。何だか顔がじわりと熱くなってしまう。
やっぱりやっぱり、こんな顔を見たら思わず

「良いよ。これ使って。」

ノートは青くて優しい色。シャーペンの鉛色が混ざった表紙には、『遠山 奈緒』と記されている。

「サンキュ!後で返す。」

…その子が去った後も、笑顔の余韻が…

私の頭からずっとずっと離れなかった。