コメディ・ライト小説(新)
- Re: 恋敵になりまして。 ( No.4 )
- 日時: 2020/09/14 17:10
- 名前: 雪林檎 ◆iPZ3/IklKM (ID: w1UoqX1L)
☆ 第一話 ☆
「……ほら、見て。鳴海生徒会長と雪科副会長よ!」
きゃあ、と黄色い歓声が上がる。
私は髪を梳いてから、優しい皆の副会長の微笑みを浮かべる。
すると、歓声は大きくなる。
「……雪科さんは凄いなぁ、僕は、何だか照れ臭くて笑顔なんか浮かべられないよ……」
並んで歩く会長の眼鏡の奥の澄んだ瞳が左右に揺れる。
さらさらの髪が光に照らされ、靡く。柔らかそうで華奢なのにそれでいてスラリと高い背。
本当、全てが可愛い……。
普段見せないその照れた顔に瞬きをするのも忘れてしまう。
真面目な生徒会長として君臨する鳴海 朔良君____副会長と生徒会長、お互いを支え合うかけがえのない関係。
_________私は会長の事が好きだ。それに、会長の運命の相手は私に決まってる。
だって、だってさ会長に憧れる当て馬の女の子や見るだけ嬉しくなるもはや通行人の女の子よりも、ずっと、ずっと傍にいるんだよ。
彼の結ばれる相手は私に絶対、決まってるでしょ。
「ありのままの会長が私は、好きですよ?ええと、だから、その……皆……っ」
真っ赤になった頬を抑えながら、下手な微笑みを浮かべた。
こんなに好きなのに、今更恥ずかしがってどうするんだろうと言い訳をぺらぺらと言う自分を心の中で殴る。
あ~!!!“好き”の言葉が言えたのにぃい、このままだったらもしかしたら会長にッッ!!!
はぁっと我知らず肩を落としてしまう。
その表情の代わり具合に、
「……ぷっ……元気づけてくれてありがとう。僕は僕のまま、居ればいいってことでしょ?」
噴き出して小さく笑う会長に見惚れてしまう。
この笑顔を、見る為に私は傍にいる。
ずっと、誰が何と貴方を言おうと隣に居るから。いつか、気付いてくれれば良い。
――――――想ってくれればいい。忠犬ハチ公の如く、貴方が振り向くのを待ってるから。
会長の隣は、私の居場所だ。
「……ってどうしたの、雪科さん」
きょとん、と犬のように目の丸くなった会長に微笑み掛けた。
「会長が笑顔になってくれて嬉しいです」
☆
「会ちょ――ッ」
華奢な身体つきの男子高生を見つけて、急いで駆けていく。
やった、お昼休みに会えた!
もしかしたら一緒にご飯を食べれるかもしれない、一緒に食べる光景を思い浮かべるだけで弾んでいた心が宇宙に行きそうになった。
私は、近くに寄るが________一歩、後退りした。見たくはない、そんな場面だった。
「……う、そ」
会長の隣、つまりいつも私のいるポジション。そこにいたのは_____派手な女子。
会長の一ファン、当て馬タイプの女子だ。
「園崎さんっ」
柔らかく聞くだけで胸をときめかせる声に自分が呼ばれていないのに、嬉しがってしまう私に「馬鹿」と呟く。
絶望する_____あんな子に会長は、鳴海君は、そんな幸せな顔を浮かべるの?
今までの努力はどうなるんだろう、と乾いた笑みが漏れる。
「……いや……違う。最後に、結ばれるのは私……あの子は過程であってゴールへの障害物役の子。いわば、恋敵」
そうだよ、会長があんな子と結ばれる訳がない。だって、お似合いって言われる私が隣に居るんだよ。
私は頬を叩く。
障害物なら、排除するべき。下手に纏わりつかれても会長が迷惑になる。
なら、早めに手は打っといたほうが良いに決まってる。
「待ってろ……園崎加恋……!!」