コメディ・ライト小説(新)
- あやかし町 第一期 #1 ( No.5 )
- 日時: 2020/12/13 00:15
- 名前: 鳴海埜 (ID: 0rBrxZqP)
第一期 #1[和菓子]
私は徒歩五分の処にある『私立華ノ幸女子大学』と言う大学に通う一年生の九十九 咲奈。
私が幼い頃に他界した両親の親代わりであった、お爺様が他界して半年。毎日何事もなく、時は過ぎていく。私には今も尚、人成らざる者…あやかし達の姿は見えている。
彼等…あやかし達は、自分達の姿が見える人間の私が珍しい様で、時折寄ってくる。寄ってくるあやかし達は、大体が害を与えようと寄ってくるのではない。ただ稀に、人間を喰らう類のあやかし達が寄ってくる時もある。襲ってくるあやかし達は空腹なのだ。私は成仏したりなどする力は無い為、襲ってきたあやかしには、私が作った飴玉を渡している。どうやら私が作った飴玉には、あやかし達の『空腹を満たす力』と『陽の霊力』が込められているらしい、とお爺様が言っていた。
そんなことを思い出していると、ふといつも通る神社の鳥居の側に誰かが座り込んで居るのを見つけた。だが、人間でないのは明らかに分かる風貌だ。お面を着けており、顔は分からないが、珍しい着物を着ているのだ。とてもぐったりしていて心配になり声を掛けることにした。
「あの…大丈夫…ですか…?」
そう声を掛けると[ソレ]は
「君には…私の姿が見えるのか…」
と小さく呟いたのが聞こえた。やはり人間では無いあやかしだったようだ。
すると[ソレ]はこう言った。
『君が…嶋哉の……』と。
私はソレを聞いて耳を疑った。困惑していた。何故相手はお爺様の名を知っているのだろう、何故私のことも知っているのだろう。そんな事ばかり考えていると、
「咲奈…私に飴玉をくれないか…?咲奈が作った飴玉を食べてみたいんだ…」
私は考えるのを止めて、持っていた飴玉を2,3個相手に手渡した。すると相手は、静かにお面をずらし。個包装から飴玉を取り出すと、それを口にした。
私はそのお面の下から少し見える顔を見て目を見開いた。まさか会うとは思わなかったのだ。まさか…まさか彼に此処で会うなんて……
#1話 終 次回へ続く。