コメディ・ライト小説(新)

あやかし町 第壱章【最終話】 ( No.20 )
日時: 2021/01/02 14:10
名前: 鳴海埜 (ID: s/G6V5Ad)

第壱章  #10[悪夢あくむ


__ここはどこ・・・・暗い・・・・怖い・・・嫌だ・・・・・誰か・・・助けて・・・・・!!!__

私は、暗闇の中をゆっくりと、下へ下へと落ちていく…。暗く、かすかにひんやりと冷たく、何もない空間。暗闇は嫌いだ。昔の…悪夢を…彷彿ほうふつとさせるから。もう何も知りたくない…思い出したくない…。そんな事をぼんやりと考えながら、私は落ちていく__。

なんとも言えない様な胸騒ぎが止まらない。なんだろう。なんだか懐かしいような、恐ろしいような、身に覚えがある…ような気がする。ぐるぐると同じ様な事を考えじっとしていると、九尾の青年『御月』に声を掛けられた。
「あの…鬼神様…。嫌な予感がするのは気のせいでしょうか…。」
そう言った御月の顔は少しばかり冷汗が伝い、青ざめているように見えた。
「お前もか…。」
やはり、同じことを思っていたようだった。何年か前だろうか。いつだったかは曖昧だが、似たような事が起こった時があった。その時は『やつ』が居た。だがもう奴は居ない。あの時のように、うまくはいかないだろう…。今ここに『奴』が居れば…。



_それはそれは…古からの言い伝え_

いにしえより、陰陽おんみょう血筋ちすじ、十八とり和国へ踏み入れし時、その者、心魔こころま歩み寄り、闇へと引き込まれん。あらがわぬば、永遠と眠りけり。
(古くから、陰陽師の血筋に当たる者、分家の者が18歳となり、和国に足を踏み入れた時、その者の心の奥深くに眠る陰の情が、姿を現して闇へと引きずり込むだろう。あらがわなければ、永遠の眠りへ就くだろう。)


第壱章 第10話 終