PR
コメディ・ライト小説(新)
- Re: あやかし町【第一期 第弍章 開幕!! 】 ( No.22 )
- 日時: 2020/12/13 00:42
- 名前: 鳴海埜 (ID: 0rBrxZqP)
第弐章 #12[厄月]
「…奴の名は………陰陽神と言う。」
陰陽神とは、あやかしと対話できるだけでなく、あやかしと同等、又はそれ以上に強大な力を持った者の事だ。
まさか、彼がそんなに凄い者だったなんて、知らなかった。むしろ、知るわけがない。何故なら、陰陽神はあやかしの敵でも味方でもない存在。それ故に、敵にまわせば敵う訳がない。そんな恐ろしい事を公言する訳がない。
「ははっ。恐ろしい、と思ったか?他のあやかし達よりも、最も奴の近くに居たのは、御月。お前だろう。」
そうだ。僕が最も彼の近くに居た。"居た筈"なんだ。でも彼は、そんな事を一言も口にせず、そんな素振りもなかった。
「お前は奴の何を見てきた?奴があやかしを殺める様な者だと思うのか?
むしろ、奴は救ってくれたよ。私達を…この和国をな。」
鬼神様はそう言って、ほんの一瞬、寂しそうな少し悲しそうな微笑を浮かべた、様な気がした。
「先程"救ってくれた"と仰いましたが和国に何かあったのですか?」
僕がそう聞いた瞬間、冷酷で淡々とした、普段の鬼神様の表情に戻ってしまった。和国に危険が及ぶだなんて、普通ならば考えられない。和国には、鬼神様を含む、5人の強力なあやかし『五光』が居るのだから。
「あれは…厄月と呼ばれる、あやかしにとって、最も厄介な月の事だ。その年の厄月は、今までの厄月の中で、最も最悪な月だった。」
_そうぽつりぽつりと話し始めた_。
第弐章 第12話 終
PR