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コメディ・ライト小説(新)
- Re: あやかし町【 第一期 第弍章 開幕!! 】 ( No.24 )
- 日時: 2021/01/02 14:04
- 名前: 鳴海埜 (ID: s/G6V5Ad)
第弐章 #14[襲撃]
__冷たい暗闇の中を落ちていく感覚がしばらく続いていた__。
「…んん………ッ…ここ……は…?」
目が覚めると、そこは知らない場所だった。いや、正確に言うと"見覚えのない"場所だろう。目の前に広がる世界は、あやかしの住む国である和国の中央町の町並みに似ていた。しかし、私が知っている中央町とは雰囲気が全く違った。
建物は瓦が剥がれ瓦礫が散らばっており、中には半壊しているもの、傾いているものもいくつか見える。そして、最も私が知っている中央町と違う点は、黒い霧のような、人や動物の姿にも見える"なにか"が大量に宙を舞っている事だ。暗い空に溶け混んでいる様で姿が見えずらい。その"なにか"は、到底聞き取れない様な叫び声を上げて、町中を飛び回り建物を破壊し、逃げ遅れたあやかし達に襲い掛かっている。
襲われたあやかし達は、次々とその場で気を失い倒れていく。
私は、その様子をただ呆然と眺めている事しか出来なかった。今私が見ているこの状況は本当にあった事なのか、それともただの夢なのか。これがただの夢だとしても、何故私がこの様な夢を見ているのかと思っていたその時、周囲に異変が起きた。
あやかし達の悲鳴や叫び声で騒がしかったはずの町中は、唐突に雷鳴の様な大きな音が響き渡ったと同時に、喧騒はピタリと止み、辺りは静まり返った。
そっと顔を上げ視線を道の中心へ動かす。
すると、視線の先には土煙が立ち上がる道に1つの人影が見えた。
『あーあ。楽しく和国を観光してる最中だったのによぉ…たかが異形の分際で…よくも俺の邪魔してくれたなぁ?あ"ぁ"?』
__静まり返った辺りには、怒りに満ちた声がよく響き渡った__。
第弐章 第14話 終
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