コメディ・ライト小説(新)
- Re: あやかし町【 第一期 第弍章 開幕!! 】 ( No.27 )
- 日時: 2021/02/24 08:43
- 名前: 鳴海埜 (ID: V7PQ7NeQ)
第弍章 #17[契約]
__私は"何か"を忘れている…?__
夢造は怪しげに笑い小さく呟くと、景色に溶け混む様にスッと姿を消した。そして、その場にはもうお爺様と鬼神様の姿はなく、私だけが取り残されていた。
「一体2人はどこに行ったのかしら…あの怪しい夢造とかいう者も…」
ゆっくりと立ち上がり軽く辺りを見渡したが、やはり2人の姿は見えない。
いつの間にか辺りはすっかり暗くなっていたようで、遠くで和太鼓の音が鳴っているのが聴こえてきた。私がいる近辺は黒霧達によって崩れ落ちた瓦礫がいくつも落ちているだけだった。
「と、とりあえず音が鳴る方に行くしかないわね…。それにしても、契約って一体なんなのかしら…。それに…私が何かを忘れているって言っていたけど…」
ぶつぶつと独り言を呟きながらも、和太鼓の鳴る方へ、灯りの方へ歩みを進める。歩き続けている内に、目的の場所に着いていたようだ。気が付けば私は、紅い灯りの提灯が付いた店がいくつも並んだ商店街らしき場所に居た。
私はその場所に見覚えがあった。和国に来てから、御月と行った、そして鬼神様と出会った食堂があった景色と少し似ている気がした。
「でもやっぱり建物が全て古い気がする…過去に来ているのだから当然と言えば当然の事…って、あ…。」
街並みを眺めながら歩いていた時、人混みの先にお爺様と鬼神様の姿を見付けた。しかし、夜祭り中のせいかあやかしの往来が激しく、数も多い為2人の姿を見失いそうになってしまう。
「私の姿は見えていない様だし…このままついていっても大丈夫…よね。」
私は2人の事を走って追った。2人は何やら話しているようで、時折お爺様が笑う様子が見えた。ようやく2人に追い付た私は、会話の内容が聞こえてきた。
「ところで鬼神。お前婚約相手は見つけたのか?もしまだ決めてないなら…俺の孫娘をやろうか?」
___えっ…?今…孫娘…って…__
「嶋哉。知っていると思うが、私は人間ではない、鬼だ。鬼の私に人間の女を嫁に貰えと言っている危険性を分かっているのか?貴様は孫娘が大事ではないと言うのか?」
一体何故…お爺様が私を鬼神様に…?
第弍章 第17話 終