コメディ・ライト小説(新)

Re: 星の詩 ( No.3 )
日時: 2020/01/01 21:55
名前: 雪 (ID: D.48ZWS.)

「居心地悪いな…。」

肝が座ることができない教室。
廊下の端から朝日が際どく差込んで、明るい声が弾き出ている。
この伸び伸びしない雰囲気、家の隅で固まっている方がマシ…なのかもしれない。
“嫌”と言う熱い塊に妨げられ、呼吸が苦しくなるこの部屋。
周りには、早々にメイクを施した某アプリ少女、ネクタイを軽く緩ませた捻くれ学生、隅でオーラを捲し立てる隠キャ、無駄にテンションが高いパリピ…。
簡単に言うと、キャラが濃い。
一貫校では無い為友達と一緒のクラスなのは確率が低いはずだ。
…しかし、何故これほどにクラスが馴染んでいるのだろうか…。


そんな時、怠慢なムードをかき散らした人間が現れた。

「見て! あの方よぉっ!」

 端正な顔立ち。
身長はそこそこ大きい生徒。
肌は色白く凍えて、目はファンタジーの様だと言っても過言では無いと言うくらい、オーシャンカラーに潤んでいた。さらには少し緩められたネクタイが、さりげなく自分をアピールしている様な気がして。
周囲の女子達が騒めく中、隅で固まっていた隠キャ達が「AP(アピール)してんじゃねぇよ…。」と聞こえてるのか聞こえていないのか…と言う程のボリュームで、ガリガリ嫉妬心を噛んでいた。

…しかし、何故こんなにも…?
何かの有名人なのだろうか。
焦ったい心を押さえずに、近くの女子にさりげなく話しかける。

「えーっと、ちょっと聞きたいんだけど。あの子…何かの有名人??」

顔を覗き込むと、彼女達は鼻高く話し始めた。

久遠くおん君はねっ!見た目もいけてるんだけど〜、あの『久遠建設』の御子息なんだからっ!」

「久遠建設の…。あっ、あのCMのか!」

閃くと、そのCMが脳裏にリピートする。
久遠 嶺…。あの時の児童代表の子かぁ…。
さすが、楠木高校…。その権力に、身震いもすることができなかった。