コメディ・ライト小説(新)

Re: 星の詩 ( No.5 )
日時: 2020/01/03 15:17
名前: 雪 (ID: D.48ZWS.)

「いま戻りましたぁ。」

地下の階段を思いっきり踏みゆく。
…今は先輩どものパシリから、やっと帰ってきたところ。両手に華々しく抱えられたビニール袋は今すぐに破ってやったらどんなに爽快だろう。

「おつー、綾瀬。6時に会合開くから、来てな。」

「…つーか、隼人。あんたなんでくつろいでんだ!私がパシられてんのにさっ。」

深紅のソファーで羽を伸ばしているのは、『向坂 隼人』。
どうやら先輩達からは、向坂むこうざかと呼ばれているらしい。
特にこいつとは、小学校からの同級生であってか、よくペアで仕事をなすり付けられる。…こんな憎たらしい奴とね。

石剥き出しの壁。
そして冷たく濁るカーペット。全てがどっかのアジトに似ている…まぁ実際アジトだけど。
学校で最も深い位置の如く、換気ができず全て空気清浄機が努力している。
日光が当たらず、天井から降り帰ってくる照明は微かな埃を黄昏時の様にアピールをかます。その横、黒光りする机が漏れた光を跳ね返して際どい明るさを増幅させ、
そしてしまいには、ソファー。その上には邪魔臭い人間が、ひっそりと住み着いている。
それを妄想した途端、隼人が鋭い目付きを送る。
「何が邪魔臭いだよ。」なんて悟られた気もするが…。






「じゃあ、みんな揃ってる?そして…会合の趣旨、まだ話して無いっけ?」

横には、年頃の高校生達が沢山。
中には青春模索中の奴もいる。

「みんな、“ターゲット”こと覚えてる?」

「ターゲット。“例の人”ですよね。」

「そう。そのターゲットは、今この学校内にいる。…今んとこ情報はなんも無いけど。でも、私達は探し出さなきゃいけない。あの組織に狙われる前にね。裏を返せば毒になる。表を返せば薬になる。だからそれが私達の使命だから。…もし、もしタイムリミットが過ぎれば、命の保証はないから。」


 張り詰めた表情を膨らませる先輩。
命の保証…これ程人生で痛いものはあるのか無いのか。
1人が深呼吸を泳がせ、それを他人が吸い取っていくのであった…。