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コメディ・ライト小説(新)
- Re: 霊と影 ( No.3 )
- 日時: 2020/01/08 14:53
- 名前: 真蓮 (ID: D.48ZWS.)
「みんな揃ってる?これからホームルーム始めますよぉ?」
細長い髪を緩めたのは、モクレン。
アルストロメリア地方で数少ない魔霊師の1人である。
まだ若々しい歳だが、術師の勘が散りばめられた目からは誰もが慈愛を引き出してくる。
さらに銀河色のホウキの持ち手は、特別目を引くものではなかったが、教壇に彼女が立つとそれは美人に添えられた1輪の華のように見ることもできる…。
1年A組の教室…いや、大講堂と言っても過言では無い…の教壇に彼女が立ち、澄んだ目で生徒を見つめると、それはそれは、生徒達の国語的感情を擽るようにも感じる。
「ええっと、1年…A組!まずは自己紹介かな?それでは初めましてっ。今日から1年間A組の担任です!“モクレン”と申します!みんな魔霊師目指しているんだよねっ、みんなで一流の魔霊師になれるように、頑張りましょおー!」
楽に拍手が飛び交うと、すぐに防音壁に吸い込まれる。
まだ幼さが残った声で話すモクレンに呆れが付いた生徒もいれば、見惚れた生徒だって…。
____休み時間……
隣にいたカオルがアヤメにジリジリと椅子を動かして迫ってくる。
「アヤメ、あの先生ど思うね。あれ絶対緊張しとって。」
「ええっと、さあ?ただ単に天然じゃないの?ああいう人も結構いるさ。」
羽ペンをくるりと一回転しながら、眉を細めるカオル。
今にもインクを溢しそうでヒヤヒヤするが…。
隣の席、言わばペアとも近い環境で不安と不満を一気にぶつけられたアヤメは少し声を弱くして制服の裾を正した。
「と言うか、アヤメ。さっきから早々どうした?なんか焦りも見えるけど…? 」
カオルが頬に肘を突くと、何故か焦ったようにアヤメは答えた…。
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